2002年2月期に大幅減益を経験した良品計画が、挫折を乗り越えて復活した。松井忠三社長自らが経営改革を断行し、2006年2月期は過去最高益を更新。売上高販売管理費率を下げるプロジェクト「30%委員会」が成果を上げた。自社の常識を打ち破るため、積極的に他社に学ぶ姿勢を打ち出す。 (文中敬称略)<日経情報ストラテジー 2006年9月号掲載>

プロジェクトの概要
 良品計画は2002年2月期、前期比で51.3%減の経常減益となり、かつての「無印良品」ブームは去ったかに思われた。同中間決算では、作り過ぎから生まれた不良在庫を処分するための商品整理損失として38億5300万円の特別損失を計上している。
 しかし今になって思えば、この判断は正しかった。当時、社長就任から半年が過ぎたばかりの松井忠三は良品計画の体質を作り変えるため、負の遺産を一気に捨て去り、ショック療法で社員を奮い立たせた。すべては、無駄を生まないローコスト経営に移行するためだ。
 2002~2003年にかけては著名なコンサルタントを社内に招き入れ、経営改革の下地を作る。そして2004年8月には松井自らが主導するコスト削減プロジェクト「30%委員会」を立ち上げ、売上高販売管理費率の引き下げにまい進し始めた。
5月に改装した「無印良品 ららぽーと」(上)。店長が店頭に立つ時間を増やすため、パソコンやファクスなどの事務所機能をレジカウンター内に移設(左) (写真:北山 宏一、以下同)
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 「一つひとつのコスト削減項目は分かった。だが具体的な実行計画はどうなっている?このままでは現場に『着地』させられない」

 良品計画の社長である松井忠三から檄(げき)が飛ぶ。「30%委員会」の1コマである。30%委員会とは、良品計画が2004年下期に始めたコスト削減プロジェクト。単体の売上高販売管理費率を30%以下に落とすのが目的で、松井が委員長を務める。

社長の松井忠三は自ら30%委員会の委員長を務め、200回を超えた会合のすべてに出席。細かなコスト削減項目まで自分で確認する

 2004年8月末に第1回の会合を開いてから、この6月で217回に達した。そのすべてに松井が出席していることからも、30%委員会に賭ける松井の執念が感じられる。議題は店舗の業務改善から調達構造や物流の見直し、店舗の賃料や内装の変更など、あらゆる経費削減に及ぶ。

 2004年2月期に34.3%あった販管費率は30%委員会が始まってから落ち始め、2006年2月期は31.8%まで減少。今期は、宣伝費の上乗せや改装店の拡大、値下げといった攻めの投資をするため販管費率の下げ幅は小さく31%の計画だ。ただし、これらの先行投資分を除けば実質29.9%と、「今期は30%の達成が視野に入った」と松井は見る。

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