日本通運が導入した「日通RFIDトレーサビリティシステム」は、RFID(無線ICタグ)を顧客の貨物に張り付けて、国際貨物の輸送状況を追跡するシステム。パレットだけでなく個品の状況もリアルタイムに近い精度で把握できる。顧客に情報提供することから始め、サプライチェーンを支える情報基盤を作ることが狙いだ。審査委員会では、貨物の情報を確実にシステムに取り込み、個品単位で追跡可能にした点が評価された。

 日本通運は、RFID(無線ICタグ)を活用した航空貨物の追跡システムを2008年9月から運用している。「日通RFIDトレーサビリティシステム」がそれだ。国際航空貨物の輸送において、貨物の輸送情報を個品単位で管理できるシステムである。

 RFIDトレーサビリティシステムは、成田と中国・上海の間の航空輸送の一部に適用している。顧客の貨物に無線ICタグを張り、空港の倉庫などで無線ICタグの情報を読み取ることで、貨物の輸送状況を顧客がリアルタイムに確認できるようにする。

 日本通運では、今回のシステム導入以前にもRFIDを使ったシステムを利用してきた。制服にICタグを埋め込んで管理するシステムや、トランクルームでの荷物管理システムである。ただし、これらはいずれも特定用途に向けたクローズドなシステムだった。

RFID使いサプライチェーン構築を目指す

 そうしたなか、「RFIDをどのように使うと物流業者の日本通運としてより良いサービスにつながるかを数年前から検討してきた」(日本通運 東京航空支店 サプライチェーンロジスティクス営業開発部 グローバルSC営業開発課の川崎龍介係長)。

 システム化のターゲットとして、ICタグをキーとしてサプライチェーンを管理するシステムが候補に上がってきた。狙いは二つある。「一つは、RFIDで取得したリアルタイムの情報を、物流の高付加価値サービスとして顧客に提供すること。もう一つは、作業の効率化や作業品質の向上につなげることだ」(日本通運 東京航空支店 サプライチェーンロジスティクス営業開発部 グローバルSC営業開発課の長岡英樹課長)。まずは顧客に対して貨物がどこでどのような状況にあるかを“見える化する”ことを第一の目的に掲げた(図1)。

図1●日本通運が国際航空貨物輸送にRFIDを採用した理由
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 同社は以前も航空貨物のトレーサビリティのサービスを提供していたが、今回のシステムのほうがリアルタイム性が高い。「以前のシステムは、書類などを人がシステムに登録したタイミングを示しているに過ぎなかった。実際の貨物の動きの情報を自動でリアルタイムに収集するには、RFIDを使ったシステムが必要だった」。日本通運 東京航空支店 サプライチェーンロジスティクス営業開発部 グローバルSC営業開発課の老沼唯主任は、RFIDの採用理由をこう話す。顧客企業は、貨物の状況をより多くの場面でリアルタイムに知ることができるようになるのだ。

 RFIDトレーサビリティシステムの仕組みはこうだ(図2)。

図2●RFID(無線ICタグ)の利用方法
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 ICタグの規格としては、UHF帯を使う国際規格であるISO/IEC18000-6 Type Cを選んだ。すでにICタグシステムの主流はUHF帯になったと判断し、他のシステムとの相互乗り入れも考慮してこの国際規格を選択した。

 日本通運が使うICタグは、日立製作所のμ-Chip Hibik(i ミューチップ ヒビキ)。 シールラベル型のICタグを貨物に張り付けて利用する。

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