総務省が2009年6月5日に公表した「ICTビジョン懇談会報告書-スマート・ユビキタスネット社会実現戦略-」において、「霞が関・自治体クラウド」の名の下に、行政サービスのワンストップ化を目指す方針が示された。今回は、日本に比べて企業向けの行政サービスでワンストップ化が進んでいる韓国政府の取り組みをレポートする。

(1)企業支援用単一窓口サービス

時空間的な制約を越える、企業支援ハブ・ポータルを構築内

 韓国政府が1990年代以降、段階的に進めてきた各種の規制緩和策や、行政業務における情報化事業は、法人に関する行政サービスの質的向上に少なからず効果を上げている。とはいえ、中央省庁間の壁があるために、なお許認可の申請手続きなどで、企業の実務担当者は、異なる行政サービス窓口を何度も行脚する不便を味わっていた。一方で、行政機関に存在する、企業にとって有益な産業情報や支援サービスが複数省庁に分散していたり、PR不足であったりしたために、十分活用されていないケースがあった。情報が体系的に管理されていないことは、その正確性の確認などに手間取る原因となった。複数の行政機関を横断する大規模な案件であるほど、行政業務の連携不足が、企業経営の足かせになる「負」の面が際立った。正確さとスピードを求められる企業の競争力を蝕む要因に、行政の非効率さが挙げられるのだ。

 「正確な情報をできるだけ素早く入手・活用できるように」と、政府に求める産業界のいら立ちは高まっていた。政府が企業のビジネスのライフサイクル全体を支援する、単一化されたオンライン窓口(Single Window)の構築を急いだ背景には、こうした動きがあった。G4B(Government for Business Service、サイトはこちら)事業の推進目標として高らかに掲げられたのは、「世界最高水準の情報通信インフラ=企業支援ハブ・ポータルを基盤に、時間や場所を問わず、円滑な企業活動を行える国づくり」である。

 G4B推進事業の中身は、(1)企業民願行政サービス、(2)産業情報サービス、(3)基幹網連携サービス、(4)付加サービスおよびポータルサービス---の4つに区分できる。

 企業民願行政サービスは、手続きごとの詳細な案内サービスと、オンラインでの民願処理連携サービスからなる。案内サービスは、企業からの多岐にわたる依頼や申し出を対象に、約1600の業務プロセス連関図(マップ)と、それに基づく個々の企業ニーズに適した情報を一覧化している。オンライン民願処理連携サービスは、国民向けのオンラインサービス窓口であるG4C(Government for Citizens Service)をはじめとする、各省庁のオンライン民願処理システムと、G4Bを連携させることで、約140種類の依頼受付、進行状況の照会や結果通知を実現した。

 産業情報サービスは、サイト連携を通じて収集された情報を業種別や経営テーマ別に分類し、関連する支援金や統計データなどの情報を提供する。統合検索機能、検索用語辞書、コンテンツの品質管理機能などを盛り込み、企業が使いやすいように設計されている。

 基幹網連携サービスでは、調達、租税、4大保険(雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金)、国防調達など、政府が主導する4大基幹網とサービス連携を行った。その上で、各基幹網の情報サービスや事務処理連携サービスを、G4Bポータルからも利用可能にした。付加サービスおよびポータルサービスでは、企業に勤める従業員の経営スキルを高めるための教育手段を提供している。業種業態に応じた無料のビデオ講座や、民願処理事例を踏まえたトレーニングプログラムなどを提供する。企業間における情報交流を促すコミュニティサイトやブログも用意。経営に関する情報交換やサイト利用によってポイントを蓄積でき、そのポイントを利用すれば、無料で企業の広報活動を行える仕掛けを作った。

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