iPhone登場でケータイからのアクセスが爆発

 iPhoneの最大の特徴は,パソコン用に用意された電子メールやWebページを“快適に”見られるようになったことだ。

 あえて“快適に”と強調したのは,電子メールやWebページを見ることは,これまでに国内で販売されていた携帯電話機でも,できるといえばできたからだ。ただ,家族写真を親戚に見せるのにFAXを使う人がいないのと同様に,「できる」ことと「実際にやる」ことには大きな違いがある。

 iPhoneのWebブラウザ「Safari」は,携帯電話機上のWebブラウザとしては,多くの人々が初めて本気で使う気になれるものだった。米国では「BlackBerry」で有名なカナダのRIM社,前述のPalm,フィンランドのNokiaといった携帯電話端末メーカーがしのぎを削って,パソコン用のメールやWebページを参照できるスマートフォンを普及させてきた。しかし,携帯電話機からWebにアクセスする行為が本格的に広がり始めたのはiPhoneが登場してからだ。

 このことを示すいくつかの数字がある。まず2008年2月,つまり日本でiPhoneが発売される半年前に,Googleのモバイル事業担当のビック・ガンドトラ氏が明かした数字である。The Financial Timesの記事によると,ガンドトラ氏はiPhoneの発売後に携帯電話機からGoogleへのアクセス量が50倍に増えたと話したそうだ。ガンドトラ氏はあまりの急増ぶりに,最初は間違いだと思ってエンジニアに再確認させたと語っている。

図1●2008年2月時点のスマートフォンの状況
左は英Canalys社が発表した2008年1~3月の出荷シェア。右はNet Applications社が発表した米国内のWebアクセスに使われたブラウザのシェア。
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 なお,同時期のスマートフォンのマーケットシェアについて,調査会社の英Canalys社は,RIMのBlackBerryが41%,AppleのiPhoneが28%と発表している(図1)。だが,実際にWebページにアクセスしているWebブラウザについて米Net Applicationsが発表した統計データでは,iPhone(およびiPod touch)が搭載するSafariが70%だった。また,Appleが2008年6月に発表した第三者機関による調査でも,iPhoneの顧客満足度は90%で,ユーザーの98%がWebブラウジングをしているという統計が出ている。

 もっとも,ここまでは日本で発売されていない初代iPhoneの話だ。その後,日本でも発売されたiPhone 3Gは,より高速な3Gネットワークを使った接続が可能で,外出中もさらに快適にWebブラウジングができるようになっている。Net Applicationsの発表では,iPhone 3Gの登場後にSafariのシェアは1カ月で2倍にまで増えたという。なお,この時点でiPhone 3Gが発売されていたのは22カ国である。この発表後には,iPhoneのWebブラウザのシェアに関する統計は公表されていないが,iPhone 3Gは当時の4倍近い80カ国で展開されており,シェアが増えているのは間違いないだろう。

 日本では元々,海外に比べて携帯電話でのデータ通信指向が強かった。それでも,iPhone登場のインパクトは大きい。ソフトバンクモバイルの孫正義社長は2009年2月に開催した2009年3月期第3四半期の決算発表会で,iPhone 3Gからのデータアクセス量(Webブラウジング以外も含む)が通常の携帯電話機からの10倍近くあることを明かした。

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