とかく学生に人気がないと言われるIT業界だが,本当だろうか?これを確かめるべく,採用面接などが本格化する2009年春,大学生2人と大学院生2人を招いて座談会を実施した。Part2では,IT業界の仕事に対する理解度などを語ってもらった。(座談会は2009年3月12日に開催)

IT業界の仕事,特にシステム開発の仕事については,具体的なイメージを持っていない方が多いようですね。では,仮にトヨタ自動車の仕事について皆さんが理解している内容を100%としたら,IT業界の仕事に対する理解度は何%くらいだと思いますか。

内田さん 文系 学部3年生
内田さん 文系 学部3年生
認知科学と情報産業政策を学んでいる。IT企業も含め,商品や経営方針に共感できる会社を探している。

内田:30%ぐらいでしょうか。ITって形がないから,思い浮かべるのが難しいと思います。自動車だとモノがあって,部品はこれで出来ているのだろうなとか,こうやって売るのだろうなとか想像できるのですが。

奥野:私はIT業界に就職するので,さすがにほかの業界よりは知っていると思います。ただ,繰り返しになりますが,システムインテグレータやコンサルティング会社はよく分かりません。

 グーグルやマイクロソフトの理解度を100%としたら,システムインテグレータやコンサルティング会社の理解度は60%ぐらいでしょうか。先輩から話を聞いているのですが,仕事をしているところを見たわけではないので。

水沼:正直なところ,私は企業向けのビジネスをしているIT企業については全く分かりません。NRIとかNTTデータとかも,友だちが受けると言うまでは,実際どういうことをしているのか全く知らなかったのです。

家田:私は,逆にIT業界以外の会社がよく分かっていないかもしれません。食わず嫌いではいけないと思って,明日,銀行のセミナーに行くのですが,一応聞いておくというレベルですね。

 ですから,逆にIT業界の理解度を100%とするなら,トヨタが20%くらいという感じです。

技術力と英語が必要?

どうも文系の方々の目には「IT業界=理系」と映っているようですね。では,どんな知識とかスキルを持った人がIT業界に適していると思いますか。

奥野さん 理工系 修士課程2年生
奥野さん 理工系 修士課程2年生
ネット系IT企業に今春就職。ソフトウエア開発経験あり。昨年の就職活動での体験をもとに語ってもらった。

内田:数字やパソコンには強い方がいいのかなと思います。私は数学がちょっと苦手なので,あんまり向いていなさそうな気がするのですけれど。

奥野:IT業界といっても,技術的な仕事ばかりではないですよ(笑)。必要なスキルは会社や職種によると思います。システム開発の上流の業務だとコミュニケーションが仕事ということもあり得るでしょうし,全般にマネジメントするのが仕事という面もあると思います。

 ネット業界だと,どちらかというと即戦力,プログラムを書けることが求められていると思います。私が就職する会社の内定式に行くと,ほとんどが理系のようなのですが,それも会社によると思います。システムインテグレータには,本当に文系が半分ぐらいいると聞いていますから。

水沼:私は意外と英語が必要なのかなと思っています。Webデザイナになりたかったのだけれど今はプログラミングをやっているという友人がいて,仕事のために専門的な英語のドキュメントを読む必要があるといいます。

家田さんはIT企業をよく回っているようですが,どんな知識やスキルが要求されると思いますか。

家田さん 理工系 修士課程1年生
家田さん 理工系 修士課程1年生
コンピュータによる画像認識の研究室で学んでいる。IT業界に的を絞って就職活動をしている。

家田:奥野さんが言っていたこととほとんど同じなのですが,ソフトウエア開発の仕事には技術力が必要だと感じています。

 例えば,ある外資系の大手ソフトウエア会社の場合,技術職を希望する人は営業職を希望する人と違い,エントリーシートにプログラミング経験を書かなければなりません。技術職の中でも本当にソフトウエアの開発をする職種だと,さらに「どれぐらいの技術レベルなのか」を具体的に聞かれました。

 英語も必要だと思います。この会社の場合,海外の技術者とやり取りする必要があるので,ソフトウエア開発者には英語と技術力が必須のようです。

最後に,奥野さん以外の3人は,IT業界への就職をどのくらい考えていますか。ずばり本音を教えてもらえないでしょうか。

水沼さん 文系 学部3年生
水沼さん 文系 学部3年生
デジタルコンテンツなどの著作権を研究するゼミに所属。出版社や広告代理店を中心に就職活動をしている。

家田:これはもう,ほぼ100%です。ITが何らかの形でかかわっている企業に就職したいと考えています。ただし,消費者向けのソフトウエアばかり作っているところよりは,企業向けの仕事がしたい。自社製品なり,他社製品なりを使ってお客さんに価値を提供できるような仕事なら,これといって業種や職種を絞っていません。

水沼:私は逆に,IT業界はほとんど考えていません。特に理由はありません。ほかに行きたい業界があるということもありますが,私は文系なのでIT業界には何となく不安を感じてしまう部分があるのです。

内田:私は結構,幅広く見ています。第一希望というわけではありませんが,IT業界も考えています。自分がその業界に合っているのかどうか,実際に受けてみないと分からないと思うからです。

 というのも,以前,大手システムインテグレータのセミナーに行ったことがあるのですが,意外といいかなと思って。文系でもシステムエンジニアになれるとは,それまで知らなかったのです。社員の方も文系の方がたくさんいらっしゃっていて感じがよく,興味を持ちました。

出典:ITpro Magazine スキルアップ応援号 pp.74-81
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。