企業が、モバイルシステムを導入する際は、種々の携帯端末と利用形態、無線という通信特性への配慮、セキュリティの確保、サービス機能の種類、などを考慮しなければならない。こうした多様性・複雑性の中で、有力な選択肢となるのがMVNO(仮想移動体通信事業者)のサービスである。

 世界同時金融危機を発端とした経済環境の変化により、企業の経営環境も過去にない厳しい局面を迎えている。その結果、聖域のないコスト削減が進められており、IT投資における通信コストの削減も例外ではない。

 そのなかで、通信コストの削減を可能にする手段の一つが、MVNO(Mobile Virtual Network Operator=仮想移動体通信事業者)が提供するサービスである。

 総務省の「MVNOに係わる電気通信事業法及び電波法の適用関係に関するガイドライン」によれば、MVNOは、自らは通信設備を持たずに、MNO(Mobile Network Operator=移動体通信事業者)の設備を借り受ける、もしくはMVNE(Mobile Virtual Network Enabler=仮想移動体通信事業支援者)からサービス提供を受け、多様なサービスを自社ブランドで提供する通信事業者だと定義できる。

コストと同時に管理負荷を軽減

 MVNOのサービス活用例として、ある製造業A社を紹介しよう。同社は、MVNOであるB社のサービスを利用することで、外出先や出張先におけるメールの送受信といった汎用業務系のモバイルシステムと、GPS(全地球測位システム)による位置情報を利用した車両運行管理システムとを“仮想的に”一体運用している()。

図●MVNOのサービスを使って、モバイル環境を統合しコスト削減した製造業A社の例
メール送受信などの汎用業務と、GPS(全地球測位システム)による車両運行業務を一体運用する
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 A社は当初、汎用業務と車両運用管理のためのモバイルシステムを別々に構築していた。汎用業務にMNO(移動体通信事業者)C社の、車両運行管理には、MNOであるD社のサービスをそれぞれ使っていた。

 しかし、ユーザー数の増大などにより、通信コストと端末管理といった管理コストの増加が課題になってきた。C社、D社のサービスとも、料金は定額プランを利用していた。ただ、汎用業務においては、C社の定額プランがもっとも適していたが、車両運行管理においては、必ずしもD社の定額プランが適しているわけではなかった。

 そこで採用したのが、B社のMVNOサービスだ。B社は複数のアクセスラインをサービスとして提供しており、その上でGPS端末と通信サービスを組み合わせた独自サービスを持っている。同サービスには、特定業務向けに安価な定額料金プランがあり、その分だけ通信コストが削減できた。

 管理業務においては、契約や請求のほか、社内システムに接続するための認証設定においても、対B社に一本化できた。管理業務の作業効率が高まったことで、管理コストが削減できている。

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