この記事はamachangこと天野仁史氏が,2008年3月24日に発売した日経ソフトウエア2008年5月号の特集「はじめてのプログラミング」向けに著したものの再掲です。記述された内容は,執筆当時の情報に基づいています。

 今,編集の矢崎さんに「あなたがプログラマになりたがっている」というお話を聞いて飛んできました。この手紙が届くころには,あなたはもうプログラマとしての一歩を踏み出しているのかもしれませんね。

 唐突ですが,今この瞬間あなたが世界を変えるプログラマになれるということに気が付いている人は何人いるでしょう。僕は,あなたが世界を変えるプログラマになれるということを知っています。だからこうして,あなたに手紙を書こうと思ったのです。

 プログラマになったばっかりのあなたや,今,プログラマになろうと思っているあなたは,つかみどころの無い不安でいっぱいでしょう。この手紙では,そんなあなたのために

  • プログラマってどんな仕事なのか
  • 成長していくためには,どんなことを心がけるか
 そんなことについて書きたいと思います。


 プログラマってどんな仕事なんでしょうか。普段,プログラミングばかりしていると当たり前になってしまいがちですが,プログラマはとても不思議で魅力にあふれた仕事です。

 プログラマの魅力を個条書きにしてみるとこんな感じです。

  • 勉強をする余地が無限にある
  • アイデアを自分の力だけで発明に変えられる
  • 世界を変えられる

 プログラマは勉強をする余地が無限にある仕事です。勉強するための教材も,ほとんどをWeb上で手に入れることができます。やる気と時間が許す限り,自分の好きな方向に,自分を伸ばし続けることができる仕事なのです。そこには,大きな育て系のゲームのような楽しさがあります。

 プログラマはアイデアを自分の力だけで発明に変えられる仕事です。たった1台のパソコンとインターネットがあれば,すぐにでもプログラミングを始めることができます。自分のアイデアを,すぐに意味のある形に変えることができます。プログラマはとても気楽な発明家なのです。

 プログラマは世界を変えられる仕事です。僕が,プログラマになってからの5年間を考えただけでも,世界はソフトウエアによってこんなにも変わってしまいました。毎朝,当たり前のように携帯電話でニュースを見て,仕事で必要なことを検索エンジンで調べ,ニコニコ動画でコミュニケーションを楽しむ---こんな世界,数年前では,考えられませんでした。

 これ,プログラマがやったことなんですよね!

 まだまだ世界は変わると思います。あなたが,世界を変える日が来るかもしれません。

 プログラマってこんなにも魅力的な仕事なんです。この仕事を選んだあなたは,本当に見る目があるなあと思います。さあ,胸を張ってプログラマ人生を歩みましょう。

 ここまで読んでプログラマになる迷いを捨てたであろうあなたに向けて,プログラマとして成長するためにはどんなことを心がけていけば良いかを書いてみます。

  • 学んだことをさらすこと
  • 成長できる環境に身を投じること

 学んだことは積極的にさらしましょう。プログラマにとって,客観的なアドバイスはとても重要です。それをどれだけ集めるかは,成長の鍵の一つです。自分のやったことは自信を持ってブログなどでさらしましょう。根拠のない自信でよいのです。そうすれば,様々な人が突っ込みを入れてくれると思います。その突っ込みのほとんどは,自分一人では得ることのできない,客観的な意見です。

 自分自身が成長できる環境に身を投じることは,何より大切です。プログラマとしての成長過程においてとても重要なのは,自分より優れたプログラマが周りにいるということです。逆に自分が一番できるプログラマだと思ってしまったら,いけません。周りのすごさにへこんで,また立ち上がって進み続けるくらいじゃないとダメなのです。なので,優秀なプログラマが集まるコミュニティや,企業に,積極的に飛び込みましょう。

 そこには,自分の技術の話を聞いてくれる仲間や,自分に新しい技術を教えてくれる先輩がたくさんいます。そういう場所で,あなたはどんどん成長していくのです。


 この手紙を最後まで読んでくれてありがとうございます。あなたが世界を変えるプログラマなんじゃないかとドキドキしながらこの手紙を書きました。

 次はどこかのイベントか勉強会でお会いしましょう。^^


天野 仁史(あまの ひとし)
交換機,ソーシャル・ネットワーキング・サービスの開発などを経て,2007年からサイボウズ・ラボ(http://labs.cybozu.co.jp/)のメンバー。IT戦士。発表経験の少ない人に自分の技術をさらけ出す場を作る「1000人スピーカ プロジェクト」を主催。1982年生まれ。
http://d.hatena.ne.jp/amachang/
出典:日経ソフトウエア2008年5月号 72ページ
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。