2009年2月22日に,サービス開始からちょうど10年を迎えるNTTドコモの「iモード」。同サービスは,携帯電話向けコンテンツ(以下,携帯コンテンツ)プロバイダが有料コンテンツを展開する主戦場である。なぜなら,国内で最大の約4800万ユーザーを抱える同サービスには,ほとんどの携帯コンテンツ・プロバイダが最優先でコンテンツを投入するからである。

 公式サイトの数を比べると,NTTドコモの約2万2000に対してKDDIが約8200,ソフトバンクモバイルが約6800となっている。実際にはKDDIやソフトバンクモバイルにコンテンツを提供するプロバイダの多くがNTTドコモにもコンテンツを供給している。つまり,iモードは国内の携帯コンテンツ市場の動向を見る上で象徴的な存在と言える。

 そのiモード事業にちょっとした異変が生じている。市場の成長に鈍化の兆しが見えると同時に,公式サイト数が急増しているのだ(図1)。

図1●NTTドコモの公式サイトの市場規模とサイト数の推移
「iモード」の公式サイトの課金総額の増加ペースが鈍る一方で,公式サイト数は急増している。結果として,1サイト当たりの平均課金額は2005年度と比べて半減,コンテンツ・プロバイダ各社は対策を迫られている。
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1サイト当たりの平均課金額は半分に

 1999年にゼロから始まったiモードの有料コンテンツ市場は2002年度には1000億円を超え,その後も年率10~20%と高い成長率で推移し,2007年度には2000億円を突破するまでに成長した。しかし,2008年度の成長率は初めて10%を切る見込みである。

 公式サイトの数も,2005年度まではコンテンツ市場と同様,年率10~20%ずつ伸びていた。しかし,2006年度は各年度とも年率40%くらいずつ増え続け,2008年度末には1万6000程度になる見通しだ。アクセス数としても,公式サイトの比率が増えている。2006年を底として,2007年,2008年と上昇傾向にある(図2)。

図2●NTTドコモの公式サイト・一般サイトのアクセス比率の推移
パケット通信の定額制導入以降,一般サイトの利用率が拡大した。2006年以降はフィルタリング問題などの影響で再び公式サイトの利用率が拡大傾向にある。
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 その結果,1サイト当たりの平均収益は一気に下がっている。有料コンテンツの課金総額をサイト数で割った1サイト当たりの平均年間課金額は,わずか3年で半分程度に落ち込む計算となる。

 公式サイトの急増の最大の要因として考えられるのが,有害サイトへのフィルタリング規制である。公式サイトの比率が底を打った2006年ころから,有害サイトを規制すべきだという声が高まり始めた。その後,総務省は2007年12月,未成年者が有害サイトへアクセスできないよう,各通信事業者に対してフィルタリング機能を導入するように指示した。

 こうした動きを背景に,公式サイトではないという理由だけで未成年者から隔離されてしまう可能性を懸念したコンテンツ・プロバイダが,一気に公式サイトに駆け込んだとみられる。

 NTTドコモとしても,2006年に公式コンテンツの登録条件を緩和した。適切な運営体制があることなど条件付きながら,それまでは認めていなかったiモード上での個人間取引やコミュニティを認めたのである。

 さらに,2009年1月からはNTTドコモが公式コンテンツの審査手続きを簡素化している。実績のある事業者については,契約継続時の審査を簡略化することにした。その分,新規受付の処理に振り向けられるようになり,結果として今後は更に公式サイトが増加するだろう。

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