写真1●発起人挨拶を行ったNHK技術局長の矢橋隆氏
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 2011年7月24日の地上アナログテレビジョン放送終了後に空くVHF帯跡地(1ch~12ch)の跡地利用は,テレビジョン放送以外の携帯端末向けマルチメディア放送用として割り当てられている。

 このうち,VHF帯ローバンド(1ch~3chの18MHz:90M~108MHz)の携帯端末向けマルチメディア放送については,現在のコミュニティ放送のように市町村などをサービスエリア(放送対象地域)とした「デジタル新型コミュニティ放送」と,複数の都道府県を一くくりにした広域放送サービスを行う「地方ブロック向けマルチメディア放送」に利用する。

 このVHF帯ローバンドを利用した携帯端末向けマルチメディア放送の,運用規程を策定する任意団体「VHF-LOW帯マルチメディア放送推進協議会」(以下,VL-P)が2009年2月20日に設立された(関連記事)。発起人は,エフエム東京,TBSラジオ&コミュニケーションズ,ニッポン放送,NHKといったラジオ局や三井物産など17社。このVL-Pが,2月10日に都内で設立説明会を開催した(写真1)。

 地上デジタル放送への完全デジタル化が完了した後に空く,VHF帯を利用した携帯端末向けマルチメディア放送の電波政策にかかわる技術方式は,現在,総務省・情報通信審議会・情報通信技術分科会・放送システム委員会において審議が進められており,1月30日にマルチメディア放送システム作業班での審議を経て,システム委員会へ中間報告が提出された。この技術方式は,2009年7月に答申される予定である。他方,免許方針にもかかわる法制度については,総務省は2月3日,国会へ電波法の一部改正となる「開設計画の認定制度の導入」と放送法の一部改正となる「受託放送・委託放送制度の導入」の法律案を提案している。

 2008年9月30日に実施した,このVHF帯跡地を利用したマルチメディア放送方式案募集に対して,3つの放送方式が提案されている。VHF帯ハイバンドを利用した全国向けマルチメディア放送にはISDB-T方式の拡張方式であるISDB-Tmmと米国のクアルコム社が推進するMediaFLOの2方式,VHF帯ローバンドを利用した地方ブロック向けマルチメディア放送には,地上デジタル音声放送(ISDB-Tsb)をベースに拡張した携帯端末向けマルチメディア放送方式がある。このVHF帯ローバンドを利用した携帯端末向けマルチメディア放送方式は,今回のVL-P設立発起人17社が共同提案している(図1)。

図1●VHF帯跡地利用のマルチメディア放送の周波数割り当て
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図2●VL-P検討スケジュール
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2010年6月頃までに運用規程を策定

 VL-Pは,2011年後半に開始予定の地方ブロック向けマルチメディア放送サービスとデジタル新型コミュニティ放送サービスを実施する上で必要となる運用規程を,2010年6月頃をめどに策定する。具体的には,新しいサービスイメージやビジネスモデルの検討,必要帯域や置局条件の検討を行い,受信機開発に役立つように放送事業者として運用規程の原案を作成後,電波産業会(ARIB)へ提案していくことになる。さらに,放送実施に向けた普及推進や受信機メーカへの受信機開発支援なども行っていく(図2)。

 運用規程は,情報通信審議会で技術方式の策定が終了し,国内標準規格を策定するARIBでの標準規格化と同時進行でスタートするが,運用規程ができてから端末ができあがるまでに18カ月必要(18カ月ルールとも言われる)とされている。そのため,2011年後半にサービスを開始する場合は,2010年春頃までに,運用規程ができあがっている必要がある。VL-P発起人メンバーである17社から情報通信審議会へ共同提案した放送方式に対して,委員会内で特段の意見もなかったことから,基本的な要素が定まったとして,2009年7月の答申を待たずに2月20日にVL-Pを設立することとなった。

 また,「1年後の今頃には,受託放送事業者の免許申請がはじまり,その2カ月後に委託放送事業者の認定申請が始まるだろう」(TBSラジオ&コミュニケーションズ 取締役 藤井彰氏)と免許申請時期を想定。さらに,電波法の一部改定となる「開設計画の認定制度の導入」に伴い,総務大臣が定める開設指針に基づき事業計画を作らなければならないため,「来年の夏頃と言われている委託放送事業者の認定審査開始までに間に合わせるには,非常にタイトで時間がない」(同)ことも早期設立の理由の1つとなっている。

 VL-Pは,運用規程策定後サービスが開始される2011年後半には,継続して運用規程のメンテナンスや普及促進を行う団体へ移行する予定である。

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