エンプレックスが3月31日に発売する管理会計ソフトの新版「eMplex PBM Release 9.0」は、主に中堅・中小のSIerが工事進行基準で使うことを狙った製品。企画・開発では自社利用も念頭に置いて議論を重ね、プロジェクトの現場から経理担当者、経営層までが簡単に使えるソフトに仕上げた。

松橋 賢氏●ES 事業部製品企画部
松橋 賢氏●ES 事業部製品企画部

 「工事進行基準への移行を進めるSIerが求める機能をすべて盛り込んだ」。eMplex PBMの企画・開発の責任者であるES事業部製品企画部の松橋賢氏は胸を張る。

 eMplex PBMは主に中堅・中小企業を対象にした管理会計ソフト。使い勝手の良さを求めてエンプレックスが自社開発したもので、ユーザー企業にはSIerやソフトメーカーが多い。ITサービス業界では、今年4月から会計基準が原則として「工事進行基準」になるため、新版9.0では進行基準への対応を最重要課題とした。

 進行基準では、売り上げと原価の予算と実績を厳格に管理し、進捗率を正確に把握する必要が生じる。プロジェクトの個別原価計算も不可欠になる。そこで新版には、プロジェクトごとに進行基準の適用や非適用を選択できる機能や、予算と実績の差異の算出、原価比例法に基づく進捗率の算出機能、財務会計ソフトとの連携機能などを加えた(図1)。

図1●エンプレックスが「eMplex PBM」の最新版に追加した工事進行基準関連の機能
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業務フローの変化を反映

 新しい機能を盛り込むため、エンプレックスは2007年秋から企画・開発をスタートさせるなど、製品化に1年以上を費やした。「最も時間をかけたのは、進行基準への移行によって必要になる機能を抽出する作業だった」と、松橋氏は振り返る。

 進行基準への移行は、2007年12月に企業会計基準委員会が正式に決めた。進行基準を適用しているSIerは野村総合研究所や富士通などごく一部。情報が非常に限られていたという。

 そこで最初に、eMplex PBMを利用する際の業務フローが進行基準への移行によってどう変わるのかをシミュレーションした。製品の利用者として、プロジェクトのマネジャーやメンバー、経営管理部門の担当者、経営管理部門の担当者など六つの職種を想定。これらの職種ごとに業務フローを書き出し、必要な機能を約2カ月かけて抽出した。

 新たに必要なことが分かった機能は約40項目。優先順位を決めて約20項目に絞り込んだ。さらに既存バージョンのユーザーに新版の機能を見せて意見を聞いたり、情報サービス産業協会が公表した進行基準対応マニュアルを参照して修正を加えたりした。

 機能を抽出するための議論には、松橋氏ら企画・開発の中核メンバー3人に加えて、同社のコンサルタントや沢登秀明社長も参加。「立場や職種が異なるメンバーが議論に加わったことで、経営層や経理部門が必要とする情報を自ら引き出してすぐ把握できるようにできた」(松橋氏)と言う。

 一例がレポート表示画面である(図2)。売り上げや原価の予算と実績を見比べやすいように並べて表示し、予算と実績の差異や計画との乖離(かいり)率、プロジェクトの進捗率を同じ画面に表示するよう工夫した。

図2●「eMplex PBM」最新版のプロジェクト収支情報画面の例
予算と実績、進捗率など、工事進行基準の適用に必要な収支情報を表示できるようにした
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 「画面の見やすさや使い勝手の良さは我が社が以前から重視してきた点。その集大成と言っていい」(松橋氏)。同社は3月31日にeMplex PBMの新版を正式発売するが、既に10社の採用が内定している。

出典:日経ソリューションビジネス 2009年1月30日号 pp.44-45
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。