1960 年生まれ,独身フリー・プログラマの生態とは? 日経ソフトウエアの人気連載「フリー・プログラマの華麗な生活」からより抜きの記事をお送りします。2001年上旬の連載開始当初から,現在に至るまでの生活を振り返って,週1回のペースで公開していく予定です。プログラミングに興味がある人もない人も,フリー・プログラマを目指している人もそうでない人も,“華麗”とはほど遠い,フリー・プログラマの生活をちょっと覗いてみませんか。
※ 記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります。

 すがすがしい冬の朝,カーテンの隙間から射す朝の光で目を覚ます。時計を見ると6時半である。ベランダで育てているバジルの葉を摘んでキッチンに降り,いれたてのエスプレッソを持って2階の仕事部屋に行き,パソコンの電源を入れてメールをチェックする。顧客からの問い合わせメールが2通来ているので,15分ほどかけて返信をしてからキッチンに戻り,トーストとベーコンエッグを焼きながら子供と妻を起こしに行く。二人を送り出したら,バジル・ペーストを仕込みながら,頭の中で企画書の構想をまとめて,昼過ぎには完成させて取引先にメールしてしまおう――。

 こんな夢を一部の人たちが語り始めたのは,1980年代中ごろだっただろうか。当時,おそらく一般の人はメールで仕事なんて想像できなかったに違いない。

 その後どうなったか,改めて書く必要はないだろう。世間では製造業からサービス業へのシフトがさらに加速し,24時間運用はあたりまえ。トラブルがあれば深夜でもたたき起こされるのが普通で,メールがチェックできないと不安で仕方ないという人は珍しくない。ネットを頼りに黙々と自宅で仕事をしている人も少なくないはずだ。

 かく言う私も,8年ほど前に勤めていた会社で「ネットがないと仕事にならない」とごねた口である。「紙のドキュメントはページをめくるのが面倒だからいやだ」とか「そんなのメールで送ればいいじゃん」などというのは序の口。しまいには,「そんなに大きなファイルを送るものじゃない」と指摘されたのに反抗して「帯域なんか気にしてるとインフラ業が育たないでしょ」と言って平気な顔をしていたものだ。いまやオフィスで隣人にドキュメントを送るのにさえメールを使う人がいる。時代は変わったものだ。

 長々と昔話をしてしまったが,ここからが本題である。先日,打ち合わせのため,久しぶりに知人のオフィスに出向いた。ある技術に精通しているエンジニアと話をするためである。話の流れで,その場でサーバーにログインしてコードを修正しながら情報交換をすることになり,このオフィスに常勤の若いエンジニアに操作をしてもらった。

 後ろで作業を眺めていて気がついたのだが,ルート権限のまま作業をしている。開発機だから便宜上ルート権限を与えていたのだが,なんと言うことだろう。この私でさえミスオペを恐れてルート権限のまま作業をすることは極力避けているのに。これは後で注意しておこう。まあそれは置いといて,とりあえず話題になっているファイルを表示して「この変数を出力してみて」と頼んだのだが,よくわからないらしい。しまいには後ろについている二人で「いふ かっこ だらー いんふぉ ぷらす…」などと一字一句教えて打たせる。

 プログラムを走らせて「結果を見て」と言っても,いま一つわかっていないようだ。そのうち「あのね,さっき出力した結果はどこに行くの?」などと問答をはじめる始末である。隣のエンジニアは画面を見ながら「あれ,viってそうやって保存終了できるんだっけ?」などと言い出して,そこでまた話が始まる。外から見ると,いわゆる「エンジニアが寄ってたかってわいわいやっている」図である。

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