2008年はクラウド・コンピューティングの話題で持ちきりだった。だが,2009年のIT分野で最大の影響を周囲に与えるのは,米Microsoftの製品のなかで最も古くさいタイプの製品である「Windows」と予測する(念のために言っておくが,筆者は新たに登場したクラウド・コンピューティングという概念を大いに支持している)。

 具体的には,2009年にリリースされるクライアント向けOSの「Windows 7」と,そのサーバー版に相当する「Windows Server 2008 Release 2(R2)」がそうだ。この2つの製品が,同社とその顧客の2009年を決めることになる。いずれも今のところ素晴らしい製品になる見通しで,旧版OSの「Windows XP」と「Windows 2003」にようやく引導を渡せそうだ,ということを知っておいてほしい。

Take1:素晴らしい出来のWindows 7

 2009年は,Windows 7初の公開ベータ版の登場とともに明ける。筆者は,MicrosoftがWindows 7のメジャー・ベータ版を1つリリースしたあとは,リリース候補(RC:Release Candidate)版を1回出すだけで最終版に移行するとみている。そのため,ユーザー企業は規模にかかわらず,この公開ベータ版でWindows 7の検証を始めるとよい。見込み通りに開発スケジュールが進めば,Windows 7は4月に完成し,遅くとも2009年半ばには顧客向けに出荷を開始できるだろう。つまり,「Windows Vista」のときと違って,導入に向けた準備期間が短いのだ。

 Windows 7に対する第一印象は,Windows Vistaをどう見ているかによって大きく変わる。Windows 7の見た目や動作はWindows Vistaとよく似ているし,XPを使っている既存ユーザーに当惑を与える点まで同じだ。ただ,小さいながらも重要なユーザー・インタフェース(UI)の変更をきちんと評価しないといけない。筆者は公式ベータ版の早期バージョンを2008年12月第4週から使っているが,Windows 7で変わらなかった部分は1つもない。タスクバー,スタート・メニュー,システム・トレイ(通知領域),デスクトップ,エクスプローラは,いずれも期待通りに使い勝手が改善されている。

 パフォーマンス面では,Microsoftの仕事に驚かされるだろう。「Windows Vistaが既存パソコンでうまく動かない」という理由でアップグレードを見送っている企業のユーザーなら,改めてWindows 7を検討したくなる。見た感じはWindows Vistaと似ているのに,実感できるほど高速化されている。それどころか,Windows Vistaを動かすことなど不可能なローエンドのネットブック・クラスのパソコンでも十分使える。筆者がWindows 7のパフォーマンスで不満を感じる処理は,ファイル・コピーだけだ。ファイル・コピーはWindows Vistaと同程度に遅くなることが多く,特にネットワーク越しのファイル・コピーでそれが顕著になる。

Take2:Server 2008 R2はWindows 7とペアで売り込む戦略

 Microsoftは,Windows 7とWindows Server 2008 R2を「ともに改善する」という話題を前面に押し出そうと奮闘している。ところが,前回同時に開発を進めたクライアントOSとサーバーOSのペア「Windows 2000 Professional」/「Windows 2000 Server」ほどの注目は集まらないだろう。ただし,これは同社が悪いわけではない。当時ほどWindowsを根本的に改良する必要がなくなったため,話題にならないのだ。それに,同社がWindows 7/Windows Server 2008 R2の同時開発で企業の関心を得るつもりならば,「Direct Access」「Branch Cache」「BitLocker To Go」以上に宣伝しようとするはずだ。

 いずれにしろ,Windows Server 2008 R2が極めて優れた製品であることに変わりはない。だからこそ,以前から最新情報を記事化してきた。さらに,今回は恐らく耳にしたことがないであろうニュースを紹介しよう。Microsoftは,Windows Server 2008 R2の新興市場向け新バージョン「Windows Foundation Server」を準備している。小規模な企業やマニアにも販売される可能性がある。同バージョンはサーバー仮想化機能「Hyper-V」以外のWindows Serverの主要機能を漏れなく搭載し,価格はわずか200ドルになるそうだ。これこそ,筆者が考える「コンピューティング・パワーの民主化」を実現するものなのだ。

Windows IT Pro, (C)2008. Penton Media, Inc.