定年退職へのカウントダウンが始まったAround 55。しかし、「引退」を考えるのは早すぎる。社会人人生の「定年」は、会社や制度が決めるものではなく、自分で決めるものだ。仕事面や生活面で一段落したAround 55のITパーソンだからこそ、「やりたいこと」「やるべきこと」にチャレンジできる。Around 55のITパーソンは、どのような生活を送っているのだろうか。「3300人大調査」の結果を基にAround 55のペルソナ(架空の人)を作ってみた。

注 調査結果からITに携わる54~56歳の回答を抽出。最頻値や平均値、自由意見を基にペルソナを作成した

Around 55のペルソナ

佐藤 茂(仮名)

イラストレーション=師岡とおる
イラストレーション=師岡とおる

 コンピュータの歴史と共に人生を歩んできた。大学卒業後は、鉄鋼メーカーに基幹系システムの技術者として就職。工場などで生産管理などの実務をたたき込まれ、生産技術部で生産管理システムなどの企画・開発に携わった。その経験をかわれ、40歳半ばで初めて転職。現在はメーカー系情報サービス会社でコンサルタントをしている。最近、早期退職する同僚を横目で見ながら、定年後の人生を真面目に考え始めた。

●年収(諸手当含む) 878万円
●職業 コンサルタント
●役職 部長補佐
●学生時代の専攻 理系(機械工学専攻)

佐藤さん(Around 55)の生活

 郊外の一戸建て住宅に、妻と二人暮らし。2人の子供は就職したのを機に家を出た。午前0時に就寝し、午前6時20分には起床。自宅でしっかりと朝食を食べてから出社する。取引先の接待がある日を除けば、夕食は自宅で妻と共に食べている。

 休日は映画を鑑賞したりスポーツを楽しんだりと、自由気ままに自分だけの時間を過ごしている。1カ月当たりのお小遣いは、5万~6万(50代平均は4万6000円)だ。悩みもある。地方で一人暮らししている親と同居するかどうか、そろそろ決断せねばと思っている。

佐藤さん(Around 55)の仕事

 1週間当たりの労働時間は48時間。年俸制のため残業という概念はないものの、時間の使い方の自由度が高いので不満はない。40代半ばに鉄鋼業界からIT業界に転職してきたが、今の仕事に携わって「良かった」と思っている。ITにかかわる仕事は、社会に貢献している。ITの魅力や社会的意義を、若い世代にもっと伝えたいと考えている。

 最近人事制度が変わり、定年が65歳まで伸びた。だが、60歳を過ぎても今の会社に留まるべきか、それとも違う道を歩んでみるべきか真剣に悩み始めた。金銭的な課題はあるにせよ、5年後は時間に追われない生活を送りたいと思っている。

 会社の同僚や後輩と飲みに行くことは少ない。最近の若い世代は会社の人との飲みに行きたがらないようなので、部下を飲みに誘うことをあえて控えている。個人的には社内よりも社外の人との交流を深めたいと思っている。

佐藤さん(Around 55)の情報収集・発信

 新聞は毎日欠かさず読んでいる。忙しいときでも見出しだけはチェックしている。個人的には日本経済新聞の「私の履歴書」がお気に入りだ。Webサイトでニュースやコラムを読むことはほとんどない。やはり情報収集の基本は新聞だと思っている。ただし、最近は新聞の小さな文字を読みにくいと感じるようになってきた。

 書籍は最近読んでいない。以前は月に2~3冊は読んでいたが、行きつけの書店が閉店してからは、書店に出向くことが少なくなった。仕事に直接関係しない歴史小説や著名な経営者の生き方に関する書籍に興味がある。

 電子メールは使っているが、ブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)といったネット・コミュニケーションには興味がない。インターネットの世界で人が交流するイメージを描けないからだ。やはり直接、会ったり話したりするアナログな対話の方が重要だと思っている。

佐藤さん(Around 55)のスキル

 海外の取引先や顧客と話す機会が増えている。本腰を入れて英会話を勉強したことはないが、「英会話は習うより慣れろ」だと思う。海外の顧客や取引先との簡単な打ち合わせ程度なら、英語でも不便はない。

 情報システムの技術動向は把握している。だが、プログラミングまではできない。入社2~3年目のころ(約30年前)、マイクロプロセッサを制御するためにアセンブラを学んだ。その後、生産関連のシステムを構築するためにBASICやC言語などを学んだが、すっかり忘れてしまった。

 ITにかかわる資格は一つも持っていない。スキルを高める指標の一つとして資格を活用するのも手だが、それと実務に使えるかどうかは別だと思っている。スキルは「資格」だけで測ることはできないためだ。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら