メインフレーム技術者が足りない――。2007年問題がついに顕在化し始めた。ベンダー各社は定年退職者の再雇用で対処する心づもりだったが、必要数を確保できていない。若手や派遣社員での穴埋めは難しく、このままでは顧客企業のシステム開発に支障がでかねない。

 「メインフレーム技術者を紹介してくれとの依頼が急増している」。IT技術者の派遣事業を手がけるリクルートスタッフィングの田中智己ITスタッフィング部部長は明かす。「依頼主の多くは大手ベンダー。メインフレームを使ったシステム開発や運用を担う技術者は今後も長いスパンで必要だが、各社とも十分な数を確保できていない」とみる。

 メインフレーム用のパフォーマンス管理ソフトなどを開発・販売するソフト会社IIMには「大手ユーザー企業からメインフレームの基本的な技術を勉強できる場を設けてくれないかとの相談が頻繁に寄せられる」(梅津裕システム本部部長)。関連セミナーは常に満席状態(写真)。参加を断るケースも多いという。

写真●IIMが6月に開催したメインフレーム関連セミナーの風景
写真●IIMが6月に開催したメインフレーム関連セミナーの風景
定員の100人を超える応募があった

再雇用が進まない

 日本は世界でもまれにみるメインフレーム大国。出荷金額ベースではいまだに国内サーバー市場の4分の1ほどを占める。これは欧米の2倍以上の水準。今後縮小が見込まれるとはいえ、まだまだメインフレームに精通した技術者の需要は根強い。

 そこを2007年問題が直撃した。昨年以降、団塊世代のベテラン技術者は60歳の定年を順次迎え始めた。そのなかにはメインフレーム技術者が多数含まれている。

 もちろんベンダー各社も手をこまねいていたわけではない。定年退職者を再雇用することで、メインフレーム技術者の急激な減少を防ぐ心づもりだった。定年退職者の再雇用制度の整備は2006年4月に施行された「改正高年齢者雇用安定法」によって企業に義務づけられている。

 だが、ベンダー各社のもくろみは外れた。本誌がメインフレーム技術者を多数抱える大手ITベンダーに聞き取り調査を実施したところ、再雇用制度の利用が進んでいない実態が明らかになった。

 11社に調査協力を依頼し、8社から回答を得た。2007年度の定年退職者のうち再雇用制度の適用対象者は8社合計で1036人。そのうち60.3%は制度を利用せず、リタイアしてしまったのだ(図1左)。

図1●大手ベンダーにおける2007年度の再雇用制度の利用率(左)と制度の種類
メインフレームを扱っている大手メーカー、インテグレータ11社に聞き取り調査し、利用率は8社、制度概要は9社から回答を得た
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 これは各社の事前の想定を大きく下回る数字だ。ほとんどのベンダーが「対象者の6~7割が再雇用制度を利用する」と見込んでいたことから、数百人規模で人員不足が発生した可能性が大きい。

 各社とも表面上は「メインフレーム技術者は足りている」とする。だが、水面下では人繰りに四苦八苦しているようだ。

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