写真●関西電力は大阪府堺市の産業廃棄物処分場跡地に1万kWの太陽光発電所の建設を決めた
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 政府は太陽光発電の普及率を飛躍的に高める強化策を打ち出す。価格を3~5年後に半額にすることを目指し、税制優遇などの施策を講じるほか、企業のコスト削減努力を今まで以上に求めていく構えだ。

 福田首相が洞爺湖サミット直前に発表した「福田ビジョン」をはじめ、政府の太陽光発電の普及強化策が一斉に明らかになってきた。資源エネルギー庁の緊急提言には、「3~5年以内に価格を半額にしたい」という野心的な目標も盛り込んである。この目標は、7月29日に行動計画として閣議決定された。

 緊急提言の発表後、太陽電池の買い控えが起きた。2005年度に終了した補助金が復活し、半額で購入できるようになると踏んだ消費者が多かったのだろう。だが実際には、「いったん終了した補助金を同じ枠組みのまま復活させるのは不可能だ」(資源エネルギー庁新エネルギー対策課の渡邊昇治課長)。

 政府の補助制度としては、国土交通省が実施している住宅ローン減税の対象に太陽電池を加えるといった税制優遇措置になる公算が高い。例えば、300万円の太陽光発電システムに住宅ローン減税の枠組みを適用すると、合計で数十万円の優遇になる。「税率と上限額によって優遇の度合いは変わる」(渡邊課長)

 政府の狙いは、普及率の向上とともに、企業にコスト削減努力を求めることにある。この2年で太陽光発電の世界市場は2倍以上の成長を遂げたが、価格はそれほど下がっていない。渡邊課長は、「市場が成長して価格の下がらない商品は珍しい。欧州の普及推進策のせいで、価格が高いままでも売れるから一向に安くならない」と憤る。政府の設置補助制度は、コストが下がるまでの買い控え対策との位置づけだ。

太陽光に政府の支援が集中

 一連の政府方針で、日本の自然エネルギー支援策は、太陽光に集中する方向性が明確になってきた。東京工業大学の柏木孝夫教授は、「立地の制約が少なく、日本企業が高い技術力を持っている。さらに、太陽光の普及で各地の土木業者に金が回るため、地域振興策にもなる」と説明する。公共事業の新しい形が、太陽光発電の普及で開けるわけだ。

図●太陽光発電の普及を後押しする政策の動き
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 こうした状況のなか、これまで電力送電網への影響を理由に自然エネルギーの普及に消極的だった電力業界にも動きが出てきた。関西電力はシャープと大阪府堺市と共同で、20haの産業廃棄物処分場跡地に、自ら1万kWの太陽光発電所を建設すると発表。2010年にも発電を開始する。関西電力グループ経営推進本部の竹中秀夫マネジャーは、「原子力が基軸なのに変わりはないが、自然エネルギーをやらないでは済まない雰囲気が出てきた」と漏らす。政府が強力に推進し電力会社が前向きになれば、太陽光発電の普及に弾みがつく可能性もある。

出典:日経エコロジー 2008年9月号 13ページより
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