「これからは公務員の仕事のやり方を改善し、業務プロセスを見直すことで…(中略)…政府の機能と組織をスムーズに改革するように誘導することが必要です。また、電子政府により、透明な行政となるように積極的に努力すべきです」。――盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は政府革新と電子政府連携推進の意志について、2003年4月17日に開かれた第一次国政課題会議の中でこのように表明した。

 前々大統領の金大中(キム・デジュン)氏は、就任の辞で「私の任期内に韓国国民を世界で最もインターネットをうまく使える国民とする」と宣言し、任期中に国政11課題を掲げ、韓国の電子政府への基盤を作った。その結果、盧武鉉政権に交替するころには、韓国の機能別・部署別の単位業務の情報化はすでに高度なレベルに達しており、各種手続きや証明書発行、税金、調達、通関などの一部は電子的に処理され、国民のためのオンライン統合サービスにおいても一部提供が開始された。

 しかし、個々の業務機能を中心とした情報化とサービス提供者中心の情報化であったため、国民にとっては利便性が向上したという実感は高くなかった。また、組織間の情報の共有や提供がうまく機能しないため、国民に組織間の境界がないワンストップサービスを提供することは限界があった。

 さらに、業務プロセスの改善を疎かにした情報化の推進やオフライン中心の法律もしくは慣行などが残っていたため、電子政府推進という課題も政府革新の手段としての貢献度は低いままであった。

 このような状況は盧武鉉政権にとってチャンスであると共に負担にもなっていた。 政府は電子政府を行政改革と対国民サービス革新のための戦略的手段として捉え、中核的国政課題の一つとして採択した。情報通信技術の急速な進化により、実現できると判断したためだ。

 「情報技術を活用し行政業務を電子化することで行政組織間あるいは国民に対する行政業務を効率的に遂行する政府」――韓国の「電子政府の実現のために行政業務等の電子化促進に関する法律」第2条第1項に定められている、電子政府の定義である。

 盧武鉉政府の大統領職引受委員会(注1)は盧武鉉政府の3大国政課題、4大国政課題、12大国政課題を発表し、これに従って「腐敗がない社会・奉仕する行政」などの12大国政課題を選定されている。

注1)韓国では大統領に選出されてからは就任するまでにおおよそ3か月余りの時間がある。その間、法律には大統領当選者として、ほとんどの面で、現職の大統領と同じ待遇を受けながら、各省庁から必要な人材を派遣してもらい、大統領職引受委員会を立ち上げ、政権引受準備を進めるように定められている。

図1●国政課題と電子政府ビジョンの連携イメージ
出典:政府革新地方分権委員会著「参与政府の電子政府(2006)」の内容を元に筆者作成
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 盧武鉉政府の大統領職引受委員会は盧武鉉政府の3大国政目標、そして4大国政運営原理を提示し、これらの国政目標と運営原理に従って12大国政課題を選定した。この国政課題の中の「腐敗のない社会・奉仕する行政」という課題等が政府革新につながっており、電子政府は政府革新を推進するための一つの手段として位置づけられた。

 「電子政府ロードマップ」では国政目標を達成するため国民参加の民主主義の実現、バランスの取れた先進社会の構築、東北アジア時代の実現、国民所得2万ドル時代の達成を実現しようという遠大な目標が表明された。電子政府においては、公務員の仕事のやり方を変え、革新を通じて国民が参画する行政を追求する先進行政の実現を図ろうとした。

盧武鉉政府の電子政府ロードマップの構成

 電子政府ロードマップは電子政府ビジョンと目標を達成するために必須となる4項目の革新分野、10項目のアジェンダおよび31項目の優先推進課題で構成されている。

 まず、仕事のやり方を変える分野では、電子的な業務処理の定着など3つのアジェンダに11課題が、対国民サービス革新分野においては、対国民サービスの高度化など3つのアジェンダに14課題が含まれている。

 情報資源管理の革新分野は、情報資源の統合および標準化など4つのアジェンダに5課題、最後に法・制度整備の革新分野は、電子政府関連の法制整備に関する1つのアジェンダに1課題となっている。

表1●電子政府31大課題および主管機関
出典:政府革新地方分権委員会著「参与政府の電子政府(2006)」の内容を元に筆者作成
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