2008年8月1日,PHPのWebサイトで,PHP5系の次期マイナー・バージョンアップ版5.3のアルファ版の配布が始まりました。PHP5系の正式最新版は2008年9月1日時点で5.2.6です。5.3はPHP5の次期標準になるわけですが,5.2からのマイナー・バージョンアップというよりは,PHP6への過渡期的ロードマップというニュアンスが強く出ています。PHP5.3に対する開発陣の入れ込みは相当のもののようで,PHP6で初めて実装されるのではないかと思われていた仕様がポンポン含まれている印象を受けます。

 今回発表された5.3はまだ評価のためのアルファ版です。実際の現場で5.3系が使用されるのは,早くても2009年も半ば以降でしょう(本稿最後のカコミ記事「現場で使われているバージョンは?」を参照)。PHP5.3では次期メジャーバージョンであるPHP6の影がチラチラ見え隠れしていて技術者としては非常に興味深いのですが,実際の案件で5.3に導入された新機能を使えるようになるには,まだまだ時間があります。乗り遅れる恐怖を感じるほどせっぱ詰まった状況でもありませんし,慌てることなく腰を据えて何が変わるのかを眺めてみることにしましょう。

 5.3のリリース・スケジュールですが,PHPはアルファ/ベータ/RCと順を追って2~3週間ごとにアップデートし,2008年10月には正式版を公開したいと発表しています。実際には8月1日のアルファ版公開から1カ月を経過し,まだベータ版の公開には至っていませんので,この予定は延長される可能性があります。

PHP5.3アルファ版の入手方法

 アルファ版は8月1日のAlpha1に続いてAlpha2までが公開されています。Alpha2の公開はPHP公式サイトでは告知されていませんが,日々着々と正式版に向けて成長しているようです。

[PHP5.3の入手先]
ソースコード
Windows用バイナリ

 ソースコードはjohannes(ヨハネ),バイナリはpierre(ピエール)というディレクトリからダウンロードします。これが5.3のコードネームか?!と思いますが,Windows用バイナリがあるpierreディレクトリには4.4.9なども置いてあったりしますので,そういうことでもなさそうです。今の段階ではさほど用はないと思いますが,ソースはbz2形式とgz形式で公開されています。

 壊れてもかまわず,自分で自由にいじり倒せるLinux機をお持ちでない場合,あるいはごくごく普通に考えて,こんな危険なバージョンをサーバーに導入できるわけがないと考えている人にとっては,とりあえずお手元のWindowsパソコンにアルファ版を導入して眺めてみるというのが一般的な選択肢でしょう。

 Windows用バイナリはWin32版,x64版とVC9(Microsoft Visual Studio 2008)版の3つがダウンロードできます。バイナリはすべてzip形式で圧縮されています。インストーラ付きのバージョンはありません。解凍後に任意のディレクトリに移動して,自分でpath設定をしたり,php.ini,Apacheを導入しているならhttpd.confを書き変えるなどの作業が必要になってきます。

 すでにPHP5系が導入されているのであれば基本的には上書きだけで済みますが,PHP5.3は現状でPHP初心者が手を出すべきバージョンではありません。インストーラがないとよくわからないという人は,せめてベータ版,理想で言うとRC版が出るまでは使用を我慢してください。現在の環境が壊れてしまっても誰も責任はとってくれません。あくまでも自己責任でお願いします。

 PHPがすでにインストールされているディレクトリの中身を全部削除して,ダウンロードしたPHP5.3アルファをコピーし,コマンドプロンプトから

> php -v

と入力するとバージョン表記で5.3 Alpha2と出ているのが確認できます(図1)。

図1●5.3 Alpha1の表記が確認できる。でも警告が出ている…
[画像のクリックで拡大表示]

 図1は,PHPがインストールされたディレクトリの内容をすべて削除して5.3のファイル群を移動した後,Windowsディレクトリにあるphp.iniを書き換えずにバージョン確認した結果です。Warningが出ています。どうやらWin32版にはGD(画像操作に使う外部ライブラリ)のExtension DLLが含まれていないようです。マルチバイト文字を扱うためのmb_stringやMySQLとの接続エクステンションなどは問題ありませんでした。

 手っ取り早くWarningを消すならば,Windowsディレクトリにあるphp.iniを削除して,PHPをインストールしたディレクトリにあるphp.ini-recommendedというファイルをphp.iniにリネーム,Windowsディレクトリにコピーするという対策が必要です。php.ini-recommendedではGDモジュールはコメントアウトされていて呼び出さないようになっています。

 php.ini-recommendedをそのまま使うとGDだけでなく外部extensionはすべてコメントアウトされているのでマルチバイト文字の処理などもできなくなります。extension_dirに正しい外部extensionが置かれているパスを記述し,必要なextensionが書かれている;extension=php_xxxx.dllの行頭の;を取ってあげなくてはなりません。とりあえずこうした手間を乗り越えると,5.3 Alpha2を試してみる環境がようやく整います。

 繰り返しになりますが,慌てて5.3 Alpha2を導入する必要はありません。ソフトのインストールはせずに,本稿の内容をざっと読んでいただき,5.3のベータ版やRC版を導入された時に改めてをじっくり読み返していただくのも,現時点における選択肢のひとつです。

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