現場が使っているExcelファイルやノーツDBには、営業や開発、販売など日々の業務で発生するリアルタイムな情報が詰まっている。これらを集めて活用できれば、現場や事業全体の状況を把握し、戦略的な判断を下すことが可能となる。

 しかし現場の情報は、その人もしくはその部署でしか通用しない形式であることが多い。もともと全社のことを考えてではなく、自分の仕事を効率化するためのものだからだ。単に集めただけでは使い物にならない。

 例えば大手ベンダーの日本システムディベロップメント(NSD)では、以前からプロジェクト単位で様々な情報を収集し、管理している。進捗から課題、変更、バグなどの情報だ。ただ、「ほとんどがプロジェクト単位で管理しており、全社共通というものはなかった」と、開発技術部長の操崎淳(くりさきあつし)執行役員は明かす。大規模プロジェクトとなるとサブチームごとにフォーマットが違う。そのため、プロジェクト全体や全社でどのような問題が多いかを分析したくてもできなかった。問題にコードを付けて管理するという点は同じでも、あるプロジェクトではコード1は「バグ」を、別プロジェクトでは「処理抜け」を意味し、簡単には集計できないからだ。もちろん、変換すれば集計できるが、そこに時間も労力もかかり“新鮮さ”が失われてしまう。

 では、現場の新鮮なデータは、どうすれば集められ、活用できるのか。NSD、リクルート、日産、清水建設の事例を見てみよう。

進行基準で現場の即時情報が必須に

 NSDが現場のリアルタイム情報を収集するのには、大きな理由がある。来年4月から適用が始まる工事進行基準だ。NSDのようなITベンダーは、開発プロジェクトの予算と実装の実績を四半期や月次などで綿密に管理することが求められる。現場プロジェクトのリアルタイムな進捗情報が、今まで以上に高い価値を持つわけだ。

 そこで、現場のプロジェクトの進捗やソフトウエア品質の実績、改善の状況を日次で入力してもらう仕組みを導入することにした(図5)。

図5●日本システムディベロップメントは現場のExcel情報を即時に吸い上げ、リアルな進捗を把握する
関係するメンバーが入力したり電子メールで送信したりしたデータを即時に集計できる
[画像のクリックで拡大表示]

 情報の鮮度を保つためのハードルは高い。対象は、協力会社を含めて3000人に上る。全員がデータを入力しなければ全社単位で管理することができない。実は同社では以前、営業支援システムを全社導入したものの「誰も使わないシステムになってしまった」(操崎執行役員)。入力の負荷が高かったことが原因だ。

 そこで現場の“Officeレガシー”に目を付けた。IT活用に長けた社員を多く抱える大手ベンダーだからこそ、現場におけるExcelやWordなどの活用度は高い。プロジェクトごとにフォーマットは異なるとはいえ、進捗管理にExcelを使っている人は多い。今回、複数の製品を比較し、現場に評価してもらったところ「Excelベースであれば毎日入力できるとの評価だった」(操崎執行役員)。これが決め手で、テプコシステムズの「ePower/exDirector」を選んだ。マイクロソフトのポータルサーバーに組み込み、Excelのデータを集中管理できる製品である。情報の入力をExcelファイルのダウンロード/アップロードだけでなく、電子メールによる送付でもできるのが特徴だ。社外スタッフなど、ポータルサイトへのアクセス権限を持たせないユーザーからの情報も集約できる。

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