写真●米IBMのクリストファー・オコナー バイスプレジデント
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 米IBMが新たなグリーンIT戦略を打ち出した。2008年7月に発表した「IBM Software for a Green World」だ。グリーンITというと,データセンターやハードウエアの省電力化に目が向きがち。しかし,IBMが新しいメッセージで主張するのは,ビジネス・プロセスとITインフラを一体として捉えて最適化し,ビジネスにおけるエネルギー効率を高めることだ。

 「当社は2007年にグリーンITプロジェクト『Project Big Green』を開始し,10億ドルを投資する計画を明らかにした。主にハードウエアやファシリティにおけるエネルギー効率向上が狙いだった。『IBM Software for a Green World』は,それを一歩進めた新しいコンセプトだ」と,Tivoliの製品戦略を担当するクリストファー・オコナー バイスプレジデントは話す(写真)。

「ユーザー企業は自問自答すべき」

 その骨子は,大きく三つある。一つめは「Infrastructure」。ソフトウエアを使ったITインフラの最適化だ。Tivoliのような運用管理ツールを使って,サーバーやネットワーク機器はもちろん,電源装置,空調装置,ビル管理システムなどを連携させる試みである。

 「オフィスに人がいない場合は空調の温度を上げ,サーバーの稼働台数を減らすとしよう。週休2日の企業であれば,消費電力を7分の2にできる計算になる」とオコナー氏はその効果の大きさを強調する。IBMは米APCなどとパートナシップを結び,Tivoliから各種機器の監視や制御が可能になるよう開発を進めている。

 二つめの「Workloads」は,業務の処理量や負荷を調整することで,エネルギー効率を高めるという考え方だ。「アプリケーションやミドルウエアを最適化・自動化し,情報システムのムダをなくす。結果,電力コストやサーバーの台数を削減できる」(オコナー氏)。

 電力を多く消費するバッチ処理を電気料金の安い時間帯で行う,サーバー室内で温度が低い場所にあるサーバーに処理を集中させる,といった取り組みがその一例だ。また,ビジネス・プロセスを見直して,業務そのもののムダをなくし,エネルギー消費を減らすことも「Workloads」の考え方に当てはまる。

 三つめが「People」,つまり従業員の働き方である。「IBMの従業員のうち42%は,毎日出社するわけではない。外出先や自宅で仕事ができるような仕組みを整えて,移動にかかるエネルギー消費を抑えている。これによって年間1億ドル削減できている」とオコナー氏は説明する。ペーパーレス化なども,この一つだ。

 ITインフラだけでなく,新しい三つの要素を加えたグリーン化が必要だとオコナー氏は強調する。「特にWorkloadsやPeopleは,企業のビジネス・プロセスに影響するだけにハードルが高い。しかし,データセンターやITインフラだけでなく,業務全体を見直す時期に来ている。ユーザー企業は,自社が効率的な企業であるかを,自問自答すべきだ」。

■変更履歴
米IBMによる投資額,削減額について誤りがありました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2008/08/24 00:55]