写真●米EYP ミッション・クリティカル・ファシリティーズのピーター・グロスCEO(右)と,ジェームズ・ウォーレン上級副社長(左)
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 ITインフラを最適化するためには,建物やサーバー室をどのようにするかまで視野を広げる必要がある――。米ヒューレット・パッカード(HP)の子会社で,データセンター設備のコンサルティングを手がける米EYPミッション・クリティカル・ファシリティーズ(MCF)のピーター・グロスCEO(最高経営責任者)は指摘する(写真右)。「ITマネージャーは,ファシリティや電力料金にも目配りすべきだ」。

 EYP MCFは,米国をはじめ,アイスランド,コロンビア,ロシア,欧州など世界25カ国でデータセンター建設コンサルティング事業を手がけてきた。2008年2月に米HPが買収し,子会社となった。今後は日本HPとともに日本でコンサルティング事業を開始するという。

 欧米のデータセンターというと,巨大な建築物を想像しがちだが,「小規模なサーバー室のコンサルティングを手がけた実績も豊富だ」(技術設計部門のジェームズ・ウォーレン上級副社長)。「米国でもデータセンターの75%は既存の建物を流用するケースで,新築の割合は小さい。特にニューヨークなどは,東京同様に古いビルの1室をサーバー室として利用することが多い」という。「その場合でも20~30%程度はエネルギー消費を削減できる」。

 「原油高が進んでいるし,日本は米国よりも電気料金が高いと聞いている。データセンターやサーバー室のエネルギー消費が増加している問題は無視できないレベルになりつつある」とグロスCEOは日本市場をみる。「環境配慮やコスト削減だけでなく,高信頼性を備え,企業成長を助けるファシリティが求められている」。

ビジネス・モデルを踏まえる

 そのためにEYP MCFは3ステップを踏む。まずコンサルティング。企業のIT戦略やポートフォリオを踏まえ,5~10年後にビジネスを拡大させるためのデータセンター像を描く。データセンターの規模や運用コスト,設置場所なども検討する。「データセンターの設置場所は重要だ。ビジネスの規模や設置地域の通信インフラ状況を踏まえて決定する」(ウォーレン上級副社長)。

 第2ステップがデータセンターのエンジニアリング。EYP MCFは,エネルギー効率や信頼性を分析する独自のモデリング・ツールを使う。「データセンター設計の初期段階でエネルギー関連コストを算出できる」と,グロスCEOはツールの有効性を強調する。これまでの実績をデータベース化し,ベンチマークとして利用できるようにしているという。

 そして第3ステップがデータセンターの運用設計だ。データセンターを安定的に運用するためには,運用プロセスが重要だとの考えに基づく。プロセスを設計し,実際にその通りに運用できることをテストする。

 また日本には新技術のノウハウも持ち込む。その1つが,高圧直流給電技術だ。制度の確立や安全性の担保などが課題としながらも,グロスCEOは「交流給電よりもエネルギーのロスが小さい上に,信頼性も高い」という。高圧直流給電技術の採用を決めたNTTグループなどと情報交換を始めている。