写真1●米APC 代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者) ローラン・ヴェルナリー氏
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 「省電力型IT機器や周辺装置の導入は二の次だ。まずは自社の情報システムを評価して実態を把握すべき。そうしなければ改善の効果もわからない」――。米APC 代表取締役社長兼CEO(最高経営責任者)のローラン・ヴェルナリー氏は,企業のグリーンITへのアプローチについてこのように指摘する(写真)。

 同社は2008年7月に,データセンターやサーバー室のアセスメント・サービスを年内に開始することを発表した。流体力学を用いた空調分析や,赤外線サーモグラフィを使った調査,分電盤から各ラックへの給電配線状況の評価など,7つのメニューを用意。APC製品を利用していない企業のデータセンターにもサービスを提供するという。

簡素化を軽視してはならない

 APCはUPSや電源関連機器,空調機などを提供してきたベンダーである。ヴェルナリーCEOは「当社の人材は電気や空調に関するノウハウが豊富。それを,日本の建築標準や電気事情を踏まえた上で顧客に提供するつもりだ」という。

 「ただ,データセンターにもさまざまなタイプがある。グリーンITにはそれに応じたアプローチが必要だ」とヴェルナリーCEOは話す。大きく4つのタイプがあるという。

 1つめは中小規模のデータセンター。オフィス・ビル内のフロアを改装したデータセンターなどがこれにあたる。2つめは大企業のデータセンターだ。「これらのデータセンターは,後から設備増強しようとしても難しいケースがある。その場合は仮想化技術によるサーバー統合や,局所冷却装置などを利用することで,スペースや電力容量を30~40%削減できるはずだ」。

 3つめは,米サン・マイクロシステムズや米IBM,米ヒューレット・パッカードなどが提供しているコンテナ型データセンター。コンテナ内部にサーバーラックや冷却装置をあらかじめ組み込んだものだ。データセンター用の建物を建築することなく,エネルギー効率が高いデータセンターを必要なスペースだけ利用できる。4つめが,通信事業者やグーグルなどのネット企業の巨大データセンターだ。「エネルギー効率が非常に重視されるデータセンターだ」(ヴェルナリーCEO)。

写真2●ローラン・ヴェルナリー氏
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 ヴェルナリーCEOは現状分析以外にも,4つのタイプに共通するポイントがあると指摘する。それは,シンプルさである。「簡素化することを過小評価してはならない。どのタイプのデータセンターにとっても,運用や設計をシンプルにすることは重要だ」と強調する。仮想化技術の導入や設備増強も,データセンターの構造や運用が複雑だと困難になる恐れがあるからだという。

 ただし,こういったデータセンターの最適化の環境対策による効果は,企業全体の環境対策の一部に過ぎない,とヴェルナリーCEOはいう。燃料電池や自然エネルギーを利用する,リユースやリサイクルを進めるといった方法もある。「企業はこれらの手法も合わせて検討すべきだ。自社の情報システムの規模が大きい企業ほど,グリーンITの貢献度も高くなる」。