ソフトバンクモバイルは7月11日,iPhone(アイフォーン)3Gを発売した。先行発売をした東京・渋谷の直営店では長蛇の列ができ,その後も品切れ状態が続いている。販売は順調のようだが,iPhoneのようなデータ通信用途を主とする端末が増えれば,同社の携帯電話網を圧迫することは必至。早急な対処が必要となる。

 7月11日に発売されたiPhone 3Gの滑り出しは絶好調。華々しいヒット商品といえるが,その裏でソフトバンクモバイルは携帯電話網の負荷増大に直面しつつある。

iPhoneでインターネットを快適に

 iPhone 3Gを先行販売をした直営店「ソフトバンク表参道」の前には,原宿の駅前から渋谷の街外れまで続く約1500人の行列が伸びていた。発売前のセレモニーで孫正義社長は「ついに携帯電話がインターネット・マシンとなる日が来た」と宣言。iPhone 3Gを使えば,パソコンよりも快適にインターネットに接続できると主張した(写真1)。

写真1●7月11日に国内でiPhoneを一斉発売
東京・渋谷区の「ソフトバンク表参道」では朝7時にiPhone 3Gの先行販売を開始した。発売を待つ人の行列は約1500人にも達した(左)。ソフトバンク表参道では発売を記念するイベントを開催。カウントダウンの終了と同時にスモークが炊かれ,店の前を覆いつくした(中央)。同日にはビックカメラ有楽町店などでもイベントを開催した(右)。[中央と右の写真は,菊池 くらげ撮影]
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 iPhone 3Gは日本だけでなく,世界でも出足は好調だった。米アップルは,iPhone 3Gの世界販売台数が発売から3日で100万台に到達したと公表。日本国内の販売台数は明らかにされていないものの,ある関係者は世界で販売される携帯電話の台数比率を基に,「国内で3日間の初期出荷は4~5万台程度」と予測する。発売後は都市部を中心に品切れ状態が続いており,順調に売れ続ければ年間の国内出荷は100万台に到達すると見る専門家も多い。

iPhoneのデータ量は10~20倍

 iPhone 3GはHSDPA(high speed downlink packet access)のデータ通信機能を搭載。音声通話よりもデータ通信の利用を中心に考えられた端末である。このため,同社はiPhone 3Gのデータ通信料金を定額制とした。利用したデータ量にかかわらず料金は月額5985円。iPhone 3Gの利用者は,この固定料金プランへの加入が必須となる。従来のスマートフォン向けのデータ通信料金は上限額が9800円だったが,これよりも低価格に設定した。

 iPhone 3Gが普及しデータ定額のユーザーが増えると,網への負荷は増大し,「つながりにくい」,「遅い」といったユーザーの不満につながりかねない。6月25日の株主総会で孫社長は,平均的な携帯電話と比べてiPhone 3Gは「1台当たりのデータ通信が10倍から20倍くらい増える」との見通しを示しており,数多くのユーザーが頻繁にアクセスし続ければ,同社の携帯電話網はパンク状態になりかねない。網の増強は喫緊の課題となっている。

 そんな事態を懸念しているためか,ソフトバンクモバイルは「iPhone 3Gで大量のデータ通信を伴うような特定サイトの通信速度を制限する場合がある」,「動画や地図などのアプリケーションで通信速度の制限をする場合がある」とWebページでユーザーに通知している。「不正な利用を防ぐための対処」(同社)というが,動画や地図の表示は一般ユーザーが当たり前に利用するWebサービス。帯域制御を実施すれば,快適にインターネットを利用できるというiPhone 3G本来の魅力を損なう。

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