携帯各社が続々に乗り出してきた法人向け24時間定額サービス。10回線以下での利用を対象としたサービスに加えて11回線以上で使えるサービスが複数発表され,各社のサービスが出そろった。とはいえ,共通するのは「同一の法人が契約したグループ内は24時間定額」という点だけ。料金体系の違いを意識する必要がある。

 サービス選択のポイントは大きく5点ある(図1)。(1)定額通話の対象とする回線数の上限,(2)24時間定額を使うために最低限必要な基本料金とオプション料金の合計額,(3)定額対象外の通話料,(4)カバー・エリア,(5)そして新規に加入する場合の端末代金である。

図1●通話が24時間定額になるサービスを選ぶ際のポイント
図1●通話が24時間定額になるサービスを選ぶ際のポイント

ドコモとKDDIは回線数に上限あり

 KDDI,NTTドコモ,ソフトバンクモバイルの3社は,定額通話の適用対象となる回線数が10回線以下のサービスと11回線以上のサービスを別メニューで提供しており,それぞれ月額基本料や定額にするためのオプション料金が違う(表1)。これに対してイー・モバイルとウィルコムは回線数によらず単一のメニューである。

表1●携帯・PHS全キャリアで出そろった法人向け音声定額サービス
  KDDI NTTドコモ イー・モバイル ソフトバンク ウィルコム
2~10回線 法人割+誰でも割 オフィス割MAX50 定額パック24 *1 モバイルホワイト法人24 ウィルコム定額プラン*1
11回線以上 ビジネス通話定額 法人向けグループ内音声定額(仮称)*2 ホワイト法人24+ *2
*1)個人用と法人用の区分がないサービス。  *2)6月から提供開始。

 同じ11回線以上のサービスでも,定額を適用するグループに含められる回線数が事業者によって異なる。ソフトバンクモバイルとイー・モバイル,ウィルコムは同一法人が契約する限り回線数は無制限。KDDIは299回線,ドコモは300回線までだ。ドコモとKDDIの場合は回線数が上限を超えると複数グループに分けて契約しなければならない。異なるグループ間の通話は定額の対象外だ。

 このほか,KDDIの「ビジネス通話定額」は,定額を適用するグループとして,KDDIの固定電話サービスの回線を含められるという特徴を持つ。

重要なのは定額対象外の通話

 料金面のサービス選択のポイントは,基本料金,24時間定額のためのオプション料金,そして社外(厳密には定額サービスのグループ外)に電話した場合に別途かかる通話料である。この通話料は事業者によって異なるだけでなく,一つのサービスでも通話相手の回線,利用時間帯によって金額が変わるため,使い方次第で料金面で有利なサービスが違ってくる。

 まず,通話がすべて同一グループのユーザー間だけの場合を考えよう。すべての通話が定額の対象だから,基本料金とオプション料金が安いサービスが有利になる(表2)。例えば11回線以上のサービスの場合,ソフトバンクモバイルの1904円,イー・モバイルの1980円が割安である。10回線以下のサービスの場合は,ドコモ,KDDI,ソフトバンクが安く,いずれも1000円前後である(関連記事)。

表2●11回線以上で利用できる通話の24時間定額サービス
新規加入の場合。KDDIとドコモは最も安い料金プランを基に計算した。
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表2●11回線以上で利用できる通話の24時間定額サービス

 ただ実際には,大抵はほかの企業,あるいは他の事業者の端末を使っているユーザーに電話をかける。ここで効いてくるのが定額対象外の通話料である。この通話料は,いくつかのサービスでは通話相手の回線,利用する時間帯によって単価が異なる(図2)。つまり,通話のパターンによって割安なサービスが変わる。

図2●各社の1回線あたりの基本料+通話料の合計額
図2●各社の1回線あたりの基本料+通話料の合計額
ソフトバンクモバイル(1~21時),イー・モバイル,ウィルコムは,同一事業者のユーザー同士であれば定額グループに入っていなくても通話料が0円。よって定額対象外の通話をしても料金が変わらないケースがある。
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 例えばイー・モバイルのサービスの場合,携帯/PHSあてなら30秒ごとに9.45円,固定あてなら同5.25円である。ウィルコムの場合は携帯あてが同13.125円,固定あてが同10.5円である。しかも,通話相手が定額の対象となる同一法人でなくても,それぞれイー・モバイル,ウィルコムのユーザーあてなら,通話料はかからない。ソフトバンクモバイルも,同社携帯電話あてなら1時~21時の間は無料。つまり,24時間定額の対象である同一法人以外のユーザーといくら通話しても料金が定額になるケースがある。

 これに対してドコモとKDDIのサービスでは,通話料は相手によらず一定で,単価はイー・モバイルやウィルコムより高め。基本料部分は複数の料金プランを選択でき,基本料には無料通話時間が付くケースがある。表2は基本料が最も安くなるケースだが,料金プランを変えれば通話料や定額対象外の通話に充当できる無料通話時間が変わり,定額対象外の通話時間次第では,基本料を含めたトータルの料金はイー・モバイルやウィルコムより安くなる。

通話エリアや端末価格も影響

 実際の利用に当たっては,通話料だけではなく,通話エリアや端末代金の検討も必要だ。

 端末代金は一概に比較することは難しいが,端末の買い方によって基本料が違うこともあり,熟考の余地があるだろう。例えばドコモの「法人向けグループ音声定額」は,端末代をベーシックコースより高めにする代わり月額基本料を安めにする「バリューコース」の一部を選択できる。

 通話のほかにデータ通信を使う場合は,その料金がどの程度になるかも考えどころ。例えばウィルコムの「ウィルコム定額プラン」は通話とメールが定額。イー・モバイルの「ケータイプラン」は,基本料部分にデータ通信料1000円分を含む。

出典:日経コミュニケーション 2008年4月1日号 42ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。