システム開発プロジェクトで外部委託する場合は,適切な協力会社を選択したうえで,委託範囲,役割分担,プロジェクト状況の報告方法と形式,検収や支払い方法などを十分に検討する必要がある。協力会社に的確な仕様や開発方法のガイドを提示することも,忘れてはならない。

布川 薫/日本IBM

 本連載も,今回をもって理論編の最終回となる。次回からは,応用編の開始である。

 前回では,ユーザー企業とITベンダー間の1次契約(主契約)における契約管理を解説したが,今回はITベンダーと協力会社間の2次契約における契約管理,つまり外部委託管理について解説した後,プロジェクトマネジメントの心得をまとめる。

計画通りに進まない主な要因

 システム開発プロジェクトで主契約者のITベンダーが量的・技術的に十分な開発リソースを用意するために,ソフト開発会社などの協力会社と2次契約を結ぶことはごく一般的だ。しかし,協力会社が計画通りの品質やスケジュールを守れずに,プロジェクト全体に悪影響を及ぼすケースはよく見受けられる。その主な原因は次の3つだ(図1)。

図1●外部委託で,コスト,品質,進ちょくの予定を狂わせる主な要因とその対策
図1●外部委託で,コスト,品質,進ちょくの予定を狂わせる主な要因とその対策

 第1は,スケジュールやプロジェクト・チームの体制,作業項目/範囲,作業の完了基準などのプロジェクト作業計画に関する事前合意が不十分なことである。第2は,ITベンダーと協力会社間のコミュニケーション不足だ。日頃のコミュニケーションが不足していては,問題があっても早めに手を打つことができず,結局品質や進ちょくに問題が生じることになってしまう。

 そして第3が,協力会社に最後まで任せっきりでITベンダーが主体的に進ちょくを管理しない「管理不在」。いわゆる「丸投げ」である。ときおり見受けられる実態と一致しない進ちょく報告も,この管理不在から始まることが多い。

 これらの問題は,「外部委託管理」のプロセスをきちんと実施していれば防げるものばかりである。協力会社と2次契約を結ぶ際は,以下で説明する外部委託管理のプロセスを確実に実行して欲しい。

役割分担を明確にする

 システム開発プロジェクトの2次契約は,「請負契約」が基本である(請負契約については前回のキーワード解説を参照)。外部委託管理の最初のプロセスは,協力会社ときちんと請負契約を締結することだ。

 契約締結に当たっては,(1)作業範囲と役割分担の文書による合意,(2)金額と支払い方式についての合意,が必須であり,(3)必要十分な項目/内容を記載した仕様と(4)成果物の検収基準についても,両者で合意しておかなければならない。

 このほか,(5)協力会社に対する窓口責任者,(6)納入後の保証義務,(7)機密情報の開示の必要性の有無,(8)プログラムや機器などの貸与の有無,(9)作業場所,機器使用料,消耗品代,交通費などを契約に含むかどうか,(10)システム稼働後の保守体制といった特別な協力要件の有無――なども,契約時点で明確にしておかなければならない。

 前号で述べた1次契約と同様,2次契約でも役割分担の合意は,特に重要だ。後にトラブルにならないよう,役割分担はできるだけ詳細に決めておく。作業途中で役割分担を変更するのはできるだけ避けるべきだが,やむを得ず変更する場合は文書で丁寧に理由を説明し,両者で合意する。プロジェクトの進行途中で仕様を変更する場合も,仕様変更が契約価格または見積もり価格の変更を伴うかどうかの確認を,書面を通じて行っておく必要がある。

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