コンサルタント
好川 一

 先日、インディアナポリスへ出張する所用ができ、思い切ってニューヨークから車で行ってみました。ニューヨークからインディアナポリスまで、ざっと1600マイル(2560 キロメートル)を2日がかりで走破できました。車での遠出は6~7年ぶりになります。正直言って、もう若くないので長距離のドライブはかなり疲れましたが、色々なことが分かり、その点では有意義でした。

 なぜ車で行ったかというと、アメリカにおける自動車事情をドライブを通じて実感したかったからです。実は11月の第3週目に、「自動車産業の動向」というテーマで、日系企業に向けてプレゼンテーションをすることになっており、ここ2カ月ほどは準備で世界の自動車産業に関する資料ばかり読み、あれこれ考えていました。

 完成車および部品を含め、最強と謳われている日本の自動車産業ですが、私はその将来を憂慮しています。自動車産業は今、大きく変化しており、日本の自動車産業はこの変化を読んで、慎重に行動していかないと危険ではないか、ということです。

アメリカの小型車が結構走っている

 ニューヨークからインディアナポリスに至るドライブで感じた事を列挙しておきます。ニューヨーク、特に高級住宅街であるウェストチェスターで見かける車は、圧倒的に日本車と欧州車が多いです。しかし、アメリカ中西部に入っていくと、様相は一変します。アメリカ車ばかりです。メルセデス、BMW、ジャガー、そしてレクサスなどはほとんど見ませんでした。

 そのアメリカ車の傾向として、小さい車が増えました。特にGMのCHEVYはよく見かけました。私は、CHEVY TRAIL BLAZERを借りて行ったのですが、想像していたより性能も質も高いことにちょっと驚きました。アメ車はダメ、とはとても言い切れない気がします。

 もう一つ印象に残ったのは、コンテナーを運ぶ長距離トラックの性能が上がったことです。とにかく速い。そしてその長距離トラックはなぜかボルボが多かった。アメリカ製のトラックはどこに行ったのでしょう。それから、一般乗用車にせよ、トラックにせよ、FORDが少ないことも気になりました。本当にFORDの車を見ないのです。

 では、日本の誇る自動車業界について考えていることをお伝えします。少し前の日本経済新聞に、日本の自動車産業の課題として、次の三点が上げられていました。一つは、二酸化炭素や窒素酸化物の排出、すなわち環境問題です。これに関係しますが、もう一つ大きな問題として、エネルギー問題があります。5年前に1ガロン$1.20くらいだったガソリンは今、$3.20 くらいに上がっています。枯渇するだろう石油を代替する燃料は何が主流になるのでしょうか。三番目は、少子高齢化及び若者の車離れです。つまり日本でこれ以上、車を売って行くことは大変だということです。

 日本がとる手としては、環境問題とエネルギー問題に対処した車を出し、アメリカをはじめ、世界各国で売っていくことになります。ヨーロッパの自動車メーカーも、この二つの問題に取り組んでいます。現在では、日本のハイブリッドカーと、ヨーロッパのクリーンディーゼルが短期的なソリューションの双璧です。トヨタとホンダはクリーンディーゼルエンジンの技術も持っています。

 日経の多くの記事を読むと、三つの課題を指摘しつつも、欧米の自動車メーカーにはハイブリッドカーのような高度な仕組みを持つ車は作れない、だから日本の優位は安泰、と読めました。精緻なモノ作りは日本人にしかできない、chinaやインドで作られた自動車は永遠に日本車に追いつけないだろう、と言う声も聞かれます。韓国のHYUNDAIの品質は15年かかってトヨタに追いついたそうですが、ブランドイメージは今一歩です。

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