サポート体制
英語対応の場合もあり不十分

 トラブルの際などのサポート体制も気になるところだ。

 Gmailのユーザー企業は,日本語に対応したWebの問い合わせフォームを利用できる。Premier EditionかEducation Editionを契約した場合は,電話によるサポートも用意されている(図7)。

図7●Google Appsのサポート体制
図7●Google Appsのサポート体制
電話サポートを希望する場合はPremier Editionへの加入が必要である。時間帯によって,電話サポートは英語での応対となる。

 しかし電話サポートは基本的には英語。平日の10~18時は,日本語で対応する場合があるが,これは公式のものではない。企業は,メールが使えない時間は可能な限り短くしたいもの。その点でサポートは十分とは言えない。

 導入の際に判断材料になる条件を細かく確認したいと考える企業もある。こうしたニーズに答えるため,グーグルはサービスについて分からない点がある企業にオンライン・セミナーで対応している。Webを使ってオンラインでPremier Editionの説明を日本語で配信する企業向けセミナーで,ユーザーからの質問も可能である。


導入ユーザーの実情
メリットがデメリットを上回る

 Gmailを活用している企業がどんな部分を評価したかは,導入を検討する際に参考になる。8月に「livedoorメール」のバックエンドとしてPartner Editionを導入したライブドアや,9月にau oneメールのバックエンドにGmailを採用したKDDIは,どちらも検索とスパム対策を高く評価している。

日大は約8万人の学生に導入

 今春,無料のEducation Editionを導入した日本大学は,約8万人の学生を対象とする大規模事例としては国内初のものだ。学部によってばらばらだったメール・システムを,Gmailに置き換え,刷新費用を抑えた。

 日大は,無料だから無条件にGmailを導入したわけではない。総合学術情報センターの吉野英治事務長は「メリットがデメリットを上回ったということ」と説明する(図8)。

図8●日本大学は学生向けメール・システムにGmailを採用
図8●日本大学は学生向けメール・システムにGmailを採用
Google Apps Education Editionを採用し,学生に「NU-Mail G」を提供している。導入に当たっては,メリットとデメリットの両面を検証した。

 注目点の一つは,Provisioning API。これを活用して,学内の「メールアカウント管理システム」とGoogle Appsを連携させた。グーグルのサービス・インフラには,最低限必要な項目だけを登録すればよく,学生の個人情報を渡さなくても済むことが分かった。

 「いつまで無料で使えるか不安」,「Gmailに広告が出るのは気持ちいいものではない」といった点も,日大の担当者は考慮した。無料であるがゆえに起こり得るリスクについては調査研究を重ね,「テレビと同じで,スポンサーのおかげで無料というビジネスモデルもある」(吉野事務長)と結論付けた。

「併用」から次第に浸透?

 企業向けGmailは,自力でDNSサーバーの設定変更やユーザー登録などの作業をこなして導入できる。申し込みや初期設定,設定変更はWebで行う(図9)。一連の手続きは自動化されているため,「システムのことは自社でやる」という企業には向いている。

図9●Google AppsでGmailを使えるようにするための主な設定
図9●Google AppsでGmailを使えるようにするための主な設定
Standard Editionを使ってメールを使えるようにする例を示した。

 このような比較的手軽に使い始められるサービスは,いろいろな活用法があるはずだ。興味がある企業はまず,Gmailを既存のメール・システムと併用して効果の検証するところから始めてみると良いだろう。カシオの原グループリーダーは,「Google AppsをDR(ディザスタ・リカバリ)のバックアップに使えないかを今後考えたい」と話す。

Gmailの競合サービス
フィードパスの「feedpath Zebra」
PマークとISO27001の取得を予定

 フィードパスの「feedpath Zebra」は,米ジンブラのコラボレーション・ツール「Zimbra Collaboration Suite」(ZCS)のホスティング・サービスだ。Google Appsと同様に,メールのほかスケジュールなどのアプリケーションをまとめて提供する。共有型ホスティングで,10ユーザー以上で利用できる。有料で2種類の料金メニューを持つ(1アカウント当たり月額1280円から)。

 Gmailにはない特色は,マッシュアップである。「1画面の中で色々な作業をこなせる」(事業推進本部の葛山哲司マネージャー)。例えばメール画面の中で,他社のインターネット・サービスを使える。発信するメールをセールスフォース・ドットコムのCRMサービスに登録したり,メールと同じ送信方法でコクヨのファイル送信サービス経由でデータを送信できる。

 ZCSのメール以外のツールとの連携もスムーズで,メール本文に書かれた日時にポインタを合わせると,スケジューラが管理する日時の情報が画面上にポップアップして表示される。

 カスタマイズ性も兼ね備える。メール・データは,「メール・フォーマットの標準規格であるRFC2822に沿ったものをエクスポート,インポートできる」(技術開発本部の岩上由高マネージャー)。外部のサービスと連携するためのAPIも提供する。オプションでアーカイビングにも対応している。

 サポートは,メールによる平日10~18時の対応。Pマークの取得を準備中で,ISO27001の取得も検討している。


出典:日経コミュニケーション 2007年10月1日号 76ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。