写真●遠藤 徹氏 ビジネステクノロジー・ジャパン アーキテクチャ・マネジメント部 部長
写真●遠藤 徹氏 ビジネステクノロジー・ジャパン アーキテクチャ・マネジメント部 部長
 (写真:中野 和志)

 最近気になることは、ITベンダーから“お客様”扱いされてしまうこと。彼らの接し方が、「お客様は何をしたいですか、おっしゃることは何でもします」という態度だからだ。

 企業のIT部門である我々は、自分たちの社内業務や課題などについては、十分に把握できている。しかし、業務を支え、課題を解決する手段となるIT関連の情報、中でも最先端の情報となると十分にキャッチアップできていないのが現実だ。だからこそ、ITベンダーにはIT分野のエキスパートとして、そして我々のパートナーとして接してほしい。

 例えばRFP(提案依頼書)を出す時、ITベンダーがイメージをつかみやすいようにと、サンプル画面を記載することがある。我々からすると、その画面はあくまでも実現したいことのイメージでしかない。当然、ITベンダーからはサンプル画面とは違った新しい提案が出てくることを期待する。

 ところが、ITベンダーは「これをやればいいのですね」と考えてしまうのか、サンプル画面ありきで提案してくる。互いの知識や経験を持ち寄ることで、両者が思ってもみなかったソリューションを作り上げていく。そういったコラボレーションをしていきたいのだが、現実にはそうはならない。

 もちろん、はっとするような提案もある。そのほとんどは、特定の分野に強みを持つITベンダーであることが多い。「この製品、この技術に関しては誰にも負けません」と言うだけのことはあって、我々の期待が10とすると、12や13ぐらいの提案を持ってきてくれる。逆に、「何でもやります、何でもできます」と言うITベンダーは、思った通りの提案しか持ってこない。結局のところ、取り柄がないということなのだろう。

 大手のITベンダーほど「何でもできます」と言ってくるものだ。以前、ETL(抽出・変換・移行)やBI(ビジネスインテリジェンス)ツールの導入を検討した時もそうだった。大手ITベンダーが何を根拠に「何でもできます」と言うのか、よくよく尋ねてみると「そのツールを使ったことのあるITベンダーを、プロジェクトに参加させますから」ということだった。

 果たして、それでツールの機能を最大限に引き出せるのだろうか。検討したETLやBIツールは、ファイザーが全世界で共通に利用する標準ツールだったため、製品自体については我々に選択の余地はなかった。そうなると、導入後のメンテナンス性が大きな選定ポイントになってくる。そのためには機能を最大限に使い切って、きちんとしたシステムを構築してほしいと考えた。

 その点をITベンダーにも伝え、「そのためにどんな手を打つのか」と尋ねた。それでも大手は「開発経験のあるITベンダーを入れますから」としか答えない。ツールに特化したITベンダーは、「うちはこの範囲しかできません。その代わり、こうしてきっちり仕上げます」と言う。我々が信頼したのは、もちろんツールに特化したITベンダーの方だ。(談)

出典:日経ソリューションビジネス 2007年10月30日号 9ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。