CO2排出量の少ないエンジン,コンパクトなボディに快適な車内空間を実現するカーナビやエアコン,暗くなると自動的に点灯するヘッドライト――最近の自動車にはさまざまな機能があります。環境にやさしく燃費が良いこと,まるで家に居るような快適性,事故を未然に防いでくれる安全性などが今の車に求められています(図1)。こうした要求に応えるべく,最新の自動車には多くの安全・快適機能が搭載されるようになりました。

図1●今の自動車に求められること
図1●今の自動車に求められること
環境にやさしく燃費が良いこと,あたかも家に居るかのような快適性,事故を未然に防いでくれる安全性など,より良い機能や利便性が求められている

 これらの安全・快適機能は,ECU(electronic control unit)と呼ぶ電子装置が実現しています。ECUには,CPUやセンサーなどが搭載されており,車の各機能を電子制御します。例えば、エンジンのECUは,車の速度やエンジンの回転数などを監視し、ガソリンの噴出量などを制御するものです。燃料噴出を制御することで,燃費向上と共にCO2の排出を抑えているのです。また,オートエアコンのECUはセンサーからの情報を基に常に車内を快適な温度に保ちます。ヘッドライトのECUはセンサーからの情報を基に自動的にライトのオンオフを制御しています。

 さらに,複数のECUをつなぐことにより,連動した複雑な動作をさせることができるようになっています。みなさんは,シフトギアをバック(リバース)に入れるとカーナビの画面がバック・カメラの映像に切り替わり,同時にサイドミラーが下を向く機能を持った車をご存知でしょうか。この機能は,シフトギア,バック・カメラ,サイドミラーの各ECUとカーナビが情報をやりとりして,連携動作することで実現しているのです。実際にはシフトギアをバックに入れると,シフトギアを監視するECUからその情報がバック・カメラのECUに伝わります。バック・カメラは撮影を始め,その映像をカーナビに送ります。シフトギアを監視するECUから同じ情報がカーナビに伝わり,画面をバック・カメラから送られてきた映像に切り替えます。またその情報はサイドミラーのECUにも伝わり,モーターを動かしてミラーを下へ向けます。

 このように複数のECUをつなぐために,実は車の中にもネットワーク「車内LAN」が張り巡らされているのです。では,オフィスや家庭のパソコンをつなぐLANと,車内LANはどこが同じでどこが違うのでしょうか。本コラム「車内LANって何だろう」では,こうした疑問に答える形で,車内LANの技術をわかりやすく解説していきます。ただし,一口に車内LANといっても1種類だけではありません。通信速度や信頼性,配線の物理的な性質などが異なる複数の方式があり,用途によって使い分けられています。本コラムでは連載形式で各方式を紹介していく予定です。第1回となる本稿では,車内LANの全体像と各方式の概要を説明します。

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