端末に個人情報を持たせない

 Web型は端末に電話帳を持たせないため,「端末を紛失しても所轄官庁への報告やニュースリリースを発行する必要がない」(MSコミュニケーションズの藤田裕法人営業推進部長)。情報漏えいにまつわる煩雑な事務処理を回避できる。

 通常番号方式の場合,携帯電話に発信履歴や着信履歴として一般の電話番号が残ってしまうが,個人の名前や住所,メール・アドレスなどと結び付いていないため,法律上の個人情報には当たらない。一方の050番号方式は,サーバーが発信元になるため,通話先の電話番号が残らない。

 WebブラウザでWebサーバーにログオンしている時間もクッキーの有効時間で制御可能。時間を短く設定しておけば,ローカル・ロックとほぼ同じ効果が得られる。無くしたことがはっきりした場合は,利用者のユーザー・アカウントを失効させればアクセスできないようになる。

 Webブラウザが使える携帯電話ならどれでも利用可能なので,端末の種類がキャリア型や統合型と比べて格段に豊富。管理者はWebサーバーだけを管理すればよく,端末に特別な設定が必要ないので,保守・管理の面で優れる。

 デメリットは,電話をかける際にWebサーバーにアクセスしなければならず,使い勝手があまり良くないこと。また,電話をかけるたびにパケット料金が発生する。

 さらに,着信時に相手の名前が分からない点もデメリットだ。特に050番号方式では相手の実際の電話番号すら分からない。例えば,接客中に着信があった場合,相手を見て緊急かどうかを判断したいケースがある。相手が分からないと判断できないので,とりあえずすべての着信に出なければならない。

音声とメールで発信元を通知

 ただし,着信時に相手の名前が分からない問題に対しては解決策が見えつつある。

 まずは,050番号方式で通話開始時にサーバーから音声で相手先を読み上げる方法。相手先の電話番号がサーバーに登録されていれば実現できる。富士通 BSCが同社のソフトウエア製品「セキュア電話帳」への実装を予定している。発呼中の相手には「ただいま呼び出しています」というメッセージを流し,その間にサーバーから携帯電話を呼び出す。それをピックアップすると「○×商事の□△さんからお電話です」といったメッセージを流して相手の名前を知らせる。

 もう一つの工夫が,着信前にメールで通知する方法。NTTコミュニケーションズがASPサービス「Click to Connect」用に開発済みの方式だ。先方からClick to Connectの利用者に対して050番号経由で電話がかかってきた場合,前述の音声通知と同様に,発呼中の相手には呼び出し中であると伝える一方,携帯電話にメールで呼び出し元の名前を伝える(図10)。メールに書いてある「はい」(着信を受ける),「いいえ」(着信を受けない)というリンクをそれぞれ選ぶことで,呼を受けたり,切ったりできる。

図10●発信者の名前が分からないことへの工夫
図10●発信者の名前が分からないことへの工夫
050番号でサーバーに着信した際,電子メールで端末に先に通知する。通話する場合は,「はい」の下にあるリンクを,通話を拒否する場合は「いいえ」のリンクを押す。

 ネットワークの遅延でメールの到着が遅れる場合を考慮して,一定時間ユーザーからの反応がなければ,自動で携帯電話に呼び出しがかかる機能が設けてある。 NTTコミュニケーションズは「着信がメールより先に発生する恐れがあることを説明し,納得してもらった場合にだけ提供している」(佐々木担当課長)という。

 ここまで述べたWeb型製品/サービスを表4にまとめた。

表4●Web型製品/サービスの一覧
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表4●Web型製品/サービスの一覧
出典:日経コミュニケーション 2007年10月1日号 63ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。