Webサーバーで電話帳を管理するのが,Web型製品/サービスだ。電話をかける際にWebサーバーにアクセスしなければならないため,利用者側の使い勝手は劣る。その一方で,電話番号と関連付いた名前などが携帯電話に一切残らないため,社員が携帯電話を落としても個人情報は漏れない。管理者は Webサーバーのデータだけを守ればよいのでキャリア型,統合型と比べて運用負荷は低く,ASPサービスと契約すればすぐに使い始められる。

 Web型は,電話帳をWebサーバーで管理するシステム形態を採る。携帯電話ユーザーはこのWebサーバーにアクセスし,通話先を見付け電話をかける (図8)。

図8●Web型サービスの画面例
図8●Web型サービスの画面例
画面は富士通ビー・エス・シーのセキュア電話帳。ユーザーID/パスワードを使ってログオンした後,Webページとして提供されている電話帳から通話先を検索し,電話番号をクリックすると電話がかけられる。 [画像のクリックで拡大表示]

 サービスはNTTコミュニケーションズのような通信事業者のほか,MSコミュニケーションズ,兼松コミュニケーションズといった携帯電話販売会社がASP 形式で提供している。ソフトウエアのパッケージは,NECや富士通ビー・エス・シー(以下富士通BSC)が開発・販売している。

 Web型は,電話の発信の仕組みによって二つのタイプに分類できる(図9)。一つはサーバーから050番号で発信する「050番号方式」。もう一つは携帯電話から直接電話を発信する「通常番号方式」である。

図9●Web型サービスの仕組み
図9●Web型サービスの仕組み
050番号方式と通常番号方式がある。050番号方式の場合,Webブラウザで電話番号を選択すると,サーバーから電話をかける側の携帯電話,相手先の順番で電話がかかり,サーバーを中継する形で通話する。通常番号方式では電話番号を選択すると携帯電話から直接電話がかかる。 [画像のクリックで拡大表示]

 050番号方式の手順は次のようになる。(1)Webブラウザで通話先を検索し,(2)通話先のリンクをクリックすると,(3)サーバーから携帯電話に電話がかかってくる。利用者が携帯電話の通話ボタンを押すと,(4)通話先に050番号を使ってサーバーから電話が発信される。相手がこの呼び出しを取れば,(5)サーバー経由で通話を開始できる。

 携帯電話への着信時は,相手が利用者の携帯電話番号に対応付けられた050番号にかける。すると,サーバーが端末を050番号で呼び出し,サーバー経由で通話が確立する。こうした仕組みのため,050番号に携帯電話番号だけでなく,会社の電話番号,自宅の電話番号などをくくり付け,自分のいる場所に電話を着信させることができる。

 もう一方の通常番号方式は携帯電話の「Phoneto」機能を利用する。Phoneto機能とはHTMLのタグとして「<A href ="tel:0311112222">XXX部長</A>」というタグがある場合,「XXX部長」をクリックすると「tel:」以下の電話番号に電話をかける機能のことだ。電話帳のWebページにこうした記述があれば,携帯電話から直接電話をかけることができる。着信は直接携帯電話にかかってくる。

 コストはASPのサービスとして提供される場合が月額315~1050円。ソフトウエア製品を購入し自社で運用する場合は初期費用として300万円以上がかかる。また,050番号方式の場合は,サーバーから通話の両端に電話をかけるので,1通話に2回線分の料金が発生する。「携帯電話の料金プランによるが,IP電話の通話料金は相対的に安いので携帯電話の通話料金と同等か,若干高い程度に収まる」(NTTコミュニケーションズブロードバンドIP事業部VoIPサービス部の佐々木史郎担当課長)という。

出典:日経コミュニケーション 2007年10月1日号 62ページより
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