筆者は,データベース・ソリューションを適正にサイジングすることが簡単ではないということは理解している。しかし初心者が魅かれる,いわゆる「データベース・サイジングツール」については,「安物買いの銭失い」ということわざが当てはまると思わざるを得ない。

 ここでは,DellとHewlett-Packard(HP)が提供するデータベース・サイジングツールの名前を挙げている。ただし内容的には,データベースのサイジングに使える汎用的なパフォーマンス・サイジングツールにも当てはまるものだ。

 DellとHPはそれぞれSQL Serverソリューションのハードウエア環境のサイジングに役立つツールを提供している。Dellが提供しているのは,SQL Advisorである。

 一方HPは,ユーザーが検討しているソリューションとハードウエアのタイプに合わせて,以下の4種類のサイジングツールを提供している。
・Microsoft SQL Server 2005向けHP Proliantサーバー・データマートサイザー
・Microsoft SQL Server 2005向けHP Businessインテリジェント・サイザー
・Microsoft SQL Server 2005 (x64)向けHP Proliantサーバー・トランザクション処理サイザー
・Microsoft SQL Server 2005 (64ビット)向けHP Integrityサーバー・トランザクション処理サイザー
上記の各ツールへはHPのWebサイトからアクセスできる。ただし,これらのツールにアクセスするには,HP Webサイトのログインアカウント(無料)を作成する必要がある。個人的にはそういうやり方は好まないが,まあそういうことを言うのは筆者だけだろう。

 DellとHPのツールはどちらも次々に質問を提示してくる。ユーザーがそれに全部回答すると,ツールはまるで白雪姫に登場するお后の「魔法の鏡」が答えてくれるかのように,ニーズに見合った推奨ソリューションのリストを表示してくれる。ユーザー,特に初心者が,フォームに入力するだけで「あなたに必要なものはこれです」という回答が得られるこうしたツールに魅かれることは十分に理解できる。

 しかし,気をつけてほしい。筆者はこれまでにあまりにも多くの顧客が,ハードウエア・ベンダーの提案やツールのアドバイスを鵜呑みにして製品を購入し,大金(有能なチューニング専門家に支払うコンサルティング料より高額であることを付け加えておこう)を支払ったあげく,結局ニーズに見合わないサーバーを使うはめになった事例を目にしてきた。まじめな話,社内の担当者として何千万円,何億円,ひょっとすると何十億円という出費を承認したのに,すぐに「これはだめだ」と言わざるを得ないのは,楽しいことではないはずだ。

 筆者がデータベース・サイジングツールに先入観を抱いていることは認めよう。というのは筆者は,これまで10年以上にわたってパフォーマンス・チューニングに携わり,顧客がニーズを満たすために必要なサーバーのタイプをアドバイスすることによってそれなりの報酬を得ていたからである。おそらくその過程では,何も知らない顧客に,高額な報酬を支払ってコンサルタントにまかせることこそ「適切なサーバー」を購入するための唯一の安全な方法だということを納得させることによって利益を得ていたと思う。

 もちろん,データベース・サイジングツールが役に立つ場合もある。検討の出発点として,これらのツールを利用することが全くの時間の無駄というわけではない。しかし,ハードウエアを売ることが目的のベンダーからの無料のアドバイスは話半分で聞く必要がある。

 ツールは使ってよい。ツールは自分なりに基準となるイメージを描くために使えばよい。ただし,どうか社内の専門家,あるいは社内に必要なスキルがない場合は外部のパフォーマンス・チューニング専門家を適正に評価してほしい。壁にかかった魔法の鏡が毒りんごを映し出すようなソリューションを社内に提案しないために。

SQL Server Magazine, (C)2007. Penton Media, Inc.