Lesson1は,MACアドレスが通信でどのように使われているのかを見ていく。MACアドレスは,イーサネットなどLANでの通信の際に,データを格納するMACフレームの先頭部分に書かれている情報である。そのMACフレームを送る相手のあて先と,送った送信元の二つのMACアドレスがMACフレームの中に書かれているのだ。

ネットワーク機器に一つは設定済み

 MACアドレスは,パソコンのLANカードやルーターといったLANを構成するネットワーク機器に,出荷時点で設定されている情報だ。基本的にはLANポートごとに設定される。この情報はそれぞれ世界中で唯一のものになっており,LAN上に同じ情報を持つ機器が存在することはない。このため,買ってきてLANに接続するだけで,通信で最低限必要となる自分や相手を指定するための環境が整うのだ(図1-1)。

図1-1●MACアドレスは機器の出荷時に割り振られている
図1-1●MACアドレスは機器の出荷時に割り振られている
MACアドレスはLAN(イーサネット)上で通信相手を識別するための情報。ベンダーは機器を出荷するときに,製品のLANポートごとに異なるMACアドレスを設定しておく。
[画像のクリックで拡大表示]

 試しに,自分のパソコンに設定されているMACアドレスを確認してみよう。Windows XPの場合,コマンド・プロンプトを起動して「ipconfig /all」と入力する。すると,「Ethernet adapter ローカル エリア接続」の中に「Physical Address」と書かれている項目が見つかるはずだ。ここに表示されている,00-30-1B…という数字とアルファベットが交ざっている情報が,そのパソコン(LANカード)に割り当てられているMACアドレスである。

場所に応じてIPアドレスと使い分け

 LANに接続しているネットワーク機器の大半は,MACアドレス以外にIPアドレスという情報を一緒に持っている。この二つのアドレス情報は,それぞれイーサネットを代表とする「LAN」と,インターネットを代表とする「IPネットワーク」のためのもの。この2種類のネットワークは,もともと別のものとして誕生したネットワークのため,これらの組み合わせが当たり前になった今でも,お互いの情報が別々に使われているのだ。

 実際のデータの流れに沿って,2種類のアドレスの使われ方を説明していこう。図1-2のパソコンAは,インターネット経由で接続している別のLANのパソコンXにデータを送りたい。このとき,パソコンAはまず自分のLANにあるルーターにデータを送信する。

図1-2●イーサネットを越えてデータを送るにはIPアドレスが必要
図1-2●イーサネットを越えてデータを送るにはIPアドレスが必要
MACアドレスはイーサネットで使われるアドレス情報。インターネットなどIPネットワークで通信相手を識別するためには,IPアドレスが必要になる。
[画像のクリックで拡大表示]

 送信するデータには,ルーターのMACアドレスRと一緒に,データの最終的なあて先であるパソコンXのIPアドレスXが入っている。MACアドレスRあてという情報を見てデータを受け取ったルーターは,その中に入っているIPアドレスXというあて先情報を見て適切なネットワークに転送する。

IPとMACはARPで結びつける

 こうしてIPネットワーク上では,IPアドレスの情報を見ながらデータが転送され,目的とするパソコンXがあるLANのルーターに到着する。そのあとはLANでの通信となるので,あて先を指定するためにMACアドレスが使われる。

 相手側のルーターは,あて先のIPアドレスXに対応するMACアドレスを調べる。このときに使われるのがARPだ。ARPで,「IPアドレスXを持つ機器のMACアドレスは何ですか?」とLANにつながっている全端末に問いかける。これに対し,パソコンXが「そのMACアドレスはXです」と応答するので,ルーターはMACアドレスXあてにデータを転送する。

 このように,相手側LANまでの通り道となるルーター間の経路はIPアドレスで決定し,自分と相手側のLANの中では相手先をMACアドレスで指定しているのである。

出典:絶対分かる!ネットワークの基礎超入門 96ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。