吉本俊宏
WEBマーケティング総合研究所
代表取締役

 外部のコンピューター会社あるいはコンサルタントを選ぶにあたって、一番確実なのは知り合いの紹介である。同業者、取引先、知人などから、評判の良い会社やコンサルタントを紹介してもらう。税理士事務所を選ぶ時に、知り合いから紹介してもらうケースが多いと思う。コンピューターの場合も同じである。どうしても知り合いからの紹介が得られない場合は、電話帳のタウンページで「情報処理サービス」あるいは「ソフトウェア業」の分類で探してみることだ。

 むしろ問題は、コンピューター会社やコンサルタントの選定である。選定のポイントはずばり、「人格」である。利用者の立場からすると、技術力は当然として、お客さんの立場に立って色々なアドバイスをしてくれるかどうかが最大のポイントだ。それは、そういう経営方針でそのコンピューター会社が運営されているか、そういう姿勢でコンサルタントが仕事をしているかどうかによる。

 だからコンピューター会社あるいはコンサルタントを選ぶ時には、社長自らがコンピューター会社のトップないしコンサルタントに会った方がよい。小さいコンピューター会社であれば社長と、大手の支社であれば支社長と、じっくり話し合う機会を持ち、社長あるいは支社長の人柄や経営方針をしっかりと見極めることが大切である。そしてこの人なら我が社のコンピューターやシステム構築を任せられると思えるトップの会社と契約しよう。コンサルタントの場合もまったく同じやり方になる。

 コンピューターだから、特別のやり方があるわけではない。取引先や仕入れ先と付き合う時に、この人とだったら良い仕事ができそうだな、と思う人がいるはずだ。そういう気持ちをコンピューター会社の経営トップに抱ければ、その会社と仕事をして失敗することはほとんどない。

 私は、都市銀行のシステム部門に所属していた頃、外部のコンピューター会社と何度も仕事をした。大きいプロジェクトでは200人くらい、小さいプロジェクトでは5~6人の技術者を出してもらって、銀行システムの開発を進めた。開発プロジェクトを進めるに当たっては、色々な苦労があった。担当者のスキルがとても低かったり、最初の見積もりが甘くプロジェクトが進むにつれ莫大な追加コストが必要になったり、はたまたシステムを動かした後にトラブルが頻発したり、自分の首が飛びかけたこともある。

 一連の経験から学んだのは、「相手のトップの人次第」ということだ。プロジェクトが深刻なトラブルに陥っても、社長だったり担当部長だったり、プロジェクトの規模により役職は異なったが、相手のトップが本当に客のことを考えてくれるタイプの人だった場合、必ず最後にプロジェクトは収束した。人格的に立派なトップであれば、あらゆる困難を排してそのプロジェクトを成功させるように動いてくれるからだ。

 典型例を一つご紹介する。私がメンバーとして入っていたあるプロジェクトで、システムの開発が遅れに遅れた。原因は、銀行が依頼したシステム仕様を大幅に変更したことと、開発を受けたコンピューター会社の見積もりが甘く、優秀な技術者を十分に手配できなかったことであった。そのプロジェクトは銀行にとって非常に重要なものだったため、システム部長の責任問題になりかねない状況だった。

 こうした状況の下、ほとんどプロジェクトをギブアップするしかないと皆が考え出した時、コンピューター会社の常務が「不足している技術者は、私の首を賭けても手配します」と立ち上がってくれた。そして、同社の社内で副社長と大喧嘩をしながら、約束通りに技術者を手配してくれた。後で人から聞いた話によると、その常務は経営会議で副社長の胸ぐらをつかまんばかりの剣幕で説得してくれたという。

 彼の偉いところは自社内で筋を通しただけではなく、我々に対してもきちっと正論を述べてくれたことだった。技術者の手配をする際に、彼は銀行のシステム部長にこう言った。

「プロジェクトが遅れているのは事実です。今、その責任をとやかく言っても仕方ありません(プロジェクトが遅れた原因の7割くらいは、銀行側の仕様変更だった)。技術者の手配は私が責任を持ちます。御行もシステムの仕様を固められるように体制を至急整備して下さい。明日からX月○日までの2週間、御行の課長をこのプロジェクトに専念させて下さい。弊社の技術者と2週間、死んだつもりで頑張りましょう」

 部長は、使命された課長が抱えていた仕事を全部免除し、プロジェクトに専念させた。銀行側担当者と、新しい技術者を含むコンピューター会社側担当者とその常務は、それからの2週間、ほとんどオフィスで寝泊まりしながら、死に物狂いで働き、何とかシステムを予定通りに動かしたのだった。

 予定通りに動いた当日、そのシステムを紹介する記事が日本経済新聞に掲載された。徹夜明けの朝の光の中でその記事を見た時は、思わず目頭が熱くなった。常務と堅い握手をしながら、しみじみ良い人と仕事ができたと胸が一杯になった。その記事の切り抜きは、今でも私の宝物になっている。

 コンピューターという専門的な技術の世界であっても、最後は「人」に行き着く。外部のコンピューター会社やコンサルタントを活用するポイントは、最後までお客さんのために頑張ってくれる人達かどうかを見極めることなのである。

社長に贈るPC活用に失敗しない七原則

原則一・社員への投資が最重要
原則二・“キーボード+ディスプレー”は文化の革命
原則三・パソコン導入は2年計画で
原則四・電子メールの活用から入る
原則五・作業効率の向上に取り組む
原則六・目指せ!新規顧客獲得・新市場開拓
原則七・外部の専門家を活用しよう

 以上、七つの原則を述べてきた。社長自ら、七つの原則を率先垂範し、パソコンとインターネットをうまく使って会社を発展させていかれることを願っている。


【経営者向けWEBマーケティング書籍発行のお知らせ】
本連載の筆者、吉本俊宏氏の著書『できる社長はネットで売らない』がこのほど発売になりました。インターネットを企業のビジネスに役立てるために経営者は何をすべきかについて、技術用語を使わず、経営者の言葉を使って解説したものです。本の概要についてはこちらをご覧下さい。

吉本俊宏(よしもと としひろ)
株式会社WEBマーケティング総合研究所 代表取締役 ブログdeホームページ経営塾あきばれネット 主催
・1964年神戸市生まれ。1988年一橋大学商学部卒業。三菱東京UFJ銀行入行。約10年にわたり、基幹システムの企画、設計、開発を担当。
・1997年、野村総合研究所に転職し、国内大企業のコンサルティングを数多く手掛ける。
・野村総合研究所時代に、セブン銀行の設立にかかわり、2001年より同社に出向、インターネット戦略を立案。
・2002年、独立し、WEBマーケティング総合研究所を設立。中堅・中小企業がインターネットを簡単に利用できる「ブログdeホームページ」サービスを提供する。
・主催する「ブログdeホームページ経営塾」の会員数は2007年7月現在2万5000人。