吉本俊宏
WEBマーケティング総合研究所
代表取締役

 前回は、「電子メールの活用から入る」という原則を紹介した。電子メールの導入が一段落したら、次は多少なりともパソコン導入の効果が感じられる分野にトライしてみよう。比較的手がけやすいのは、従来手作業でやっていた部分をパソコンを使ってこなすことにより、作業の能率をアップさせる事だ。

社長に贈るPC活用に失敗しない七原則

原則一・社員への投資が最重要
原則二・“キーボード+ディスプレー”は文化の革命
原則三・パソコン導入は2年計画で
原則四・電子メールの活用から入る
原則五・作業効率の向上に取り組む
原則六・目指せ!新規顧客獲得・新市場開拓
原則七・外部の専門家を活用しよう

 進め方はこんな感じだ。2週間のパソコン研修を受講した社内エキスパート達に、手作業が大変な仕事を選ばせて、それをパソコンで処理させるのである。社内エキスパートが3人いるとすると、こう指示を出す。

「我が社が手作業で作成している資料のうち、作るのが最も大変な資料を3種類挙げ、それらをパソコンで作成できるようにして欲しい。1人が1種類の資料に取り組み、今日から1週間でやってもらいたい」

 ポイントは、社内で作成している各種資料のうち、作成するのが最も煩雑な資料から着手すること、そしてそれを1週間でパソコンで処理できるようにすること、である。

 煩雑な資料から着手するのは、パソコンを使うメリットがでやすいからである。パソコンの専門家ではない、社内エキスパートが行う作業であるから、劇的に作業効率が向上するわけではない。それでも、最も煩雑な、つまり最も時間がかかる作業にパソコンを適用することにより、たとえ小さな効果であってもメリットを実感しやすいのだ。

 そうすると、従来その面倒な手作業を担当していた社員から感謝されるし、社内エキスパートもやりがいを感じ、次の改善に向けて取り組もうと言う意欲が出てくる。繰り返すが、社内で一番煩雑な作業からパソコンを適用することがポイントである。

 二点目の「1週間以内でパソコン対応を完了させる」というのは、1カ月とか2カ月といった比較的長い時間をかけてやらせると、かえって途中で挫折してしまうからだ。人間誰しも「今まで大変だった仕事を改善しろ」と言われると、ものすごい業務改善を考えてしまう。そうなるとパソコンで処理する範囲がどんどん膨れて行って、結局スキル不足で担当者がギブアップしてしまう。

 1週間しかないと思えば、誰しもそんな大した事ができるとは考えない。自分のパソコン知識の範囲で「ちょっとした」改善を加えるしかない。しかしこの「ちょっとした改善」というのが大切である。「少し」でもパソコンを利用できれば、社内エキスパートのパソコンスキルも「少し」向上する。社内のパソコン理解度も「少し」上がる。
 
 そして次の週にまた少し改善して、担当者がもう少しスキルアップする。こうして少しずつ少しずつ、社内エキスパートのスキルアップに合わせて、手作業がパソコンに切り替わっていけばよい。

 第9回で述べたように、パソコン導入してから効果が実感できるまでには2~3年かかる。それまでは社内エキスパートの教育、スキルアップが出来ればよい、といった気持ちで、小さな改善を積み重ねて行くことだ。くれぐれも、パソコンを導入すると直ぐに劇的な省力効果が出て、2~3人分の人件費が省ける、などという過剰な期待を持たないようにして頂きたい。


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吉本俊宏(よしもと としひろ)
株式会社WEBマーケティング総合研究所 代表取締役 ブログdeホームページ経営塾あきばれネット 主催
・1964年神戸市生まれ。1988年一橋大学商学部卒業。三菱東京UFJ銀行入行。約10年にわたり、基幹システムの企画、設計、開発を担当。
・1997年、野村総合研究所に転職し、国内大企業のコンサルティングを数多く手掛ける。
・野村総合研究所時代に、セブン銀行の設立にかかわり、2001年より同社に出向、インターネット戦略を立案。
・2002年、独立し、WEBマーケティング総合研究所を設立。中堅・中小企業がインターネットを簡単に利用できる「ブログdeホームページ」サービスを提供する。
・主催する「ブログdeホームページ経営塾」の会員数は2007年7月現在2万5000人。