吉本俊宏
WEBマーケティング総合研究所
代表取締役

 前回、「パソコン導入は2年計画」という原則を紹介した。では2年後を目指して、何から始めればよいだろう。1年目の目標は、社員のパソコンスキルアップと「キーボード+ディスプレー」の文化革命である。そのために一番簡単で効果があるのが「電子メールを使わせること」だ。

 1年目は余り大きな目標は立てず、社員全員が電子メールを使いこなせるようにすれば良い。社員に電子メールで取引先やお客様とやり取りをさせて、また社員同士でも電子メールによるコミュニケーションを積極的に進めさせる。社長以下の経営層や部課長クラスも例外ではない。さらにパートや派遣社員を含めた、「全社員」が電子メールを使いこなせるようにする、これが1年目の目標である。

社長に贈るPC活用に失敗しない七原則

原則一・社員への投資が最重要
原則二・“キーボード+ディスプレー”は文化の革命
原則三・パソコン導入は2年計画で
原則四・電子メールの活用から入る
原則五・作業効率の向上に取り組む
原則六・目指せ!新規顧客獲得・新市場開拓
原則七・外部の専門家を活用しよう

 改めて電子メールとは何か、考えてみたい。イメージ的に言えば、社員1人ひとりがファックス機を持っており、電話や郵便の代わりに、全て1対1でお客さんや取引先とファックスをやりとりしているようなものである。

 ファックスも電子メールも、基本的に文字情報である。手書きの紙をファックス機に読み込ませてお客さんに送信するように、キーボードで入力した文章をパソコンが電子メールとして送信する。お客さんからのファックスが自分のファックス機にたまっているように、お客さんからの電子メールも自分のパソコンに溜まっており、いつでも読める。またファックス機によっては、送信時に複数の電話番号を指定すれば一度に複数のお客さんに送信できるが、電子メールも宛先を複数指定すれば一度に何10人もの人にメールが送れる。

 なぜ電子メールから始めるのが良いのか。一番分かりやすいからである。電子メールをお客さんや取引先との連絡に使い出すと、電話やファックスの代わりになってくるので、必ず使わざるを得なくなってくる。つまり、かなりの強制力を持ったツールと言うわけである。電子メールを送ったり受けたりするためには、キーボードで文字を入力し、ディスプレーで見る必要があり、自然と慣れて行くことができる。

 電子メールは効果が比較的分かりやすい。使ってみれば直ぐ分かるが、なかなか便利である。キーボードに慣れないうちはなかなか自分からメールは出せないと思うが、部下のメールやお客さんのメールを見ていると、色々な情報がとれるようになる。使い始めて3カ月もすると、電子メールは手放せないツールになっているはずだ。

 パソコンを導入しても使う目的が無いとなかなか社員は利用しないが、「とにかく電子メールを使え」と号令すれば、パソコンの利用は進むだろう。ここで大事なことは、社長が率先して電子メールを利用することである。中高年の部長クラスの人は、できればパソコンなど使いたくないと思っている人も多い。だが中間管理職がパソコンを使わないと、彼らの部下もパソコンを使わない。

 私が関わったプロジェクトで、銀行のある支店に行った時のことである。閉じたノートパソコンの上にうず高く資料が積み上げられていた。その支店では、配備したパソコンはまったく活用されておらず、何週間も電源が切られたままの状態であった。パソコンには、本部からの各種通達や顧客関連情報などが電子メールで送られていたが、当然彼らの目には触れていなかった。

 どうして、このような状態になってしまったのか。ここの支店長がパソコン嫌いで、部下がパソコンを使っていると「パソコンを見てる暇があったら外回りしてこい」と怒鳴りまくる人だったのである。部下は怖くてノートパソコンを開けられず、いつまで経ってもこの支店のパソコンスキルは向上せず、利用が進まなかった。

 ここまでひどい人はそうはいないと思うが、中間管理職がパソコン活用に非協力的だとその部下もなかなかパソコンは使いにくいものだ。そこで社長から、中間管理職やその部下にメールを送り、「例の件メールで送っておいた」と言えば、中間管理職はいやでもメールを見ないわけにはいかず、社内のメール活用は大きく進むようになる。文化を変えるのは、トップダウンで行くのが一番効果的である。ぜひ御社も社長自ら実践して頂きたい。


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吉本俊宏(よしもと としひろ)
株式会社WEBマーケティング総合研究所 代表取締役 ブログdeホームページ経営塾あきばれネット 主催
・1964年神戸市生まれ。1988年一橋大学商学部卒業。三菱東京UFJ銀行入行。約10年にわたり、基幹システムの企画、設計、開発を担当。
・1997年、野村総合研究所に転職し、国内大企業のコンサルティングを数多く手掛ける。
・野村総合研究所時代に、セブン銀行の設立にかかわり、2001年より同社に出向、インターネット戦略を立案。
・2002年、独立し、WEBマーケティング総合研究所を設立。中堅・中小企業がインターネットを簡単に利用できる「ブログdeホームページ」サービスを提供する。
・主催する「ブログdeホームページ経営塾」の会員数は2007年7月現在2万5000人。