いよいよN700系開発のキーマンが登場!
難題山積! 今明かされる開発ミッションの数々

 2007年7月1日にデビューするN700系の“顔”が「エアロストリーム」から「エアロ・ダブルウィング」へと変わる。この「二枚目アラン・ドロン顔」から「男臭いチャールズ・ブロンソン顔」へという進化には、何でも「遺伝的アルゴリズム」なる理論を使ってのことらしい。

●N700系と700系の先頭車両の比較
N700系のアップ(写真上)。しぶくて迫力がある。下の写真は700系のアップ。こちらは甘くて端正だ(写真提供:JR東海)
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 てっきり「速くなるため」に精悍(せいかん)な顔付きになったのかと思いきや、そう単純な話ではなさそうだった。そこで、この「エアロ・ダブルウィング」の開発者を直撃すべく、東京駅に隣接する東海旅客鉄道株式会社(JR東海)を訪ねた。

 取材に応対してくれたのは、まさに今回の“顔”を生み出した設計グループのリーダー、新幹線鉄道事業本部車両部車両課課長代理の成瀬功さんだった。

東海旅客鉄道(JR東海)で取材に応えてくれた新幹線鉄道事業本部車両部車両課課長代理の成瀬功さん
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先頭形状、ミッションは「微気圧波」による騒音の低減

 早速、「今回デビューする新しい新幹線“N700系”があのような形に進化しなければならなかった理由とは、いったい何ですか?」とたずねると、成瀬さんはこう答えた。

 「高速で走る新幹線には、空力的に求められるスペックというのがあります。走行時の空気抵抗を減らすというのもあるんですけれど、新幹線の先頭形状に関して特に重要なのは『微気圧波』の問題です」

 新幹線が高速走行でトンネルに突入すると、一瞬、空気が圧縮される。トンネル内では空気が拡散しないので、この圧縮波は衝撃波のようになり、トンネルの中を音速で伝わり、出口の部分で開放されたとき、大きな振動や音を発生させる。この現象のことを「微気圧波」あるいは「トンネル微気圧波」と呼ぶのだそうだ。

 「要は、空気鉄砲ではないですけれど、新幹線がトンネルの中に入ると、その先の出口の方から『ポンッ』と音が出る。この音がもし大きければ、周辺地域の住民のみなさんにとって騒音となります。そこで、『この音をできるだけ抑えるためには、先頭形状をどんな形にすればいいか』という理想の形状を探し出すのが、この『エアロ・ダブルウィング』開発の最大のミッションとなったのです」(成瀬さん)

●N700系の先頭部分を上からと正面からみた写真
上から見ても正面から見ても、N700系の『エアロ・ダブルウィング』の独特のフォルムは、やっぱりかっこいい(写真提供:JR東海)
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