写真1●総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の西潟暢央・課長補佐
写真1●総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の西潟暢央・課長補佐

 業界を騒然とさせた2.5GHz帯無線ブロードバンドの免許方針案。第3世代携帯電話事業者とそのグループ会社をなぜ免許交付の対象外としたのか。総務省総合通信基盤局電波部移動通信課の西潟暢央・課長補佐(写真1)に,今回の免許方針案に決めた経緯や狙いを聞いた。

 なお,記事では話を分かりやすくするため「免許の申請・交付」と表現しているが,正確には「特定基地局の開設計画の申請・認定」という手順を踏む。特定基地局の開設計画の認定を受けた事業者だけが免許を申請できる。

第3世代携帯電話(3G)事業者を対象外とした狙いは。

 技術間競争と新規参入の促進を図るのが目的だ。3G事業者に免許を交付した場合は3Gサービスの補完で終わってしまう。既に多くのユーザーを抱える3Gサービスが優先で,2.5GHz帯無線ブロードバンドはどうしても片手間になる。サービスも既存3Gと競合する。既存の3G事業者が2.5GHz帯無線ブロードバンドでVoIP(voice over IP)サービスを提供するとは思えない。

 移動通信用は1社当たり30MHzと大きな帯域幅を用意した。これはソフトバンクモバイルが2GHz帯の3Gで利用している幅と同じだ。これだけの帯域幅があれば様々な使い方ができる。3Gの補完で終わらせたくない。既存3G事業者の垂直統合モデルに組み込むのではなく,新規参入事業者にモバイル・データ通信の新たなマーケットを作ってほしい。市場が大きく活性化されることを期待している。

事業者が連合体を形成するという見方も出ている。

 免許方針案の条件に合致していれば,全く問題ない。我々が関知することではない。望んでいるわけではないが,新規参入プレーヤが3G事業者のリソースを借りて参入することほど美しいことはない。同一グループの出資比率の合計が3分の1未満であれば,複数の3G事業者が連合体を形成するのも構わない。連合体を形成してほしいとは言わないが,共同でやるのは歓迎だ。

設備投資にかかるコストや無線インフラの構築の難しさを考えると,3G以外の事業者が新規に参入するのは厳しいのではないか。

 従来に比べて金融状況は良くなっている。アイピーモバイルの件(関連記事)はあったが,資金の調達が非常に困難という時代ではない。確かに参入のハードルは高い。しかし,新しいビジネスを提案して投資家を説得できないようであれば,そもそも事業としてどうなのかという話になる。無線インフラの構築の難しさに関しても,決して無理な話をしているわけではないと考えている。イー・モバイルのようにノウハウがない状態から3Gサービスで新規に参入した例もある(関連記事)。

70MHzの帯域幅を移動通信用に30MHzが2社,固定通信用に10MHzを割り当てる方針にした。

 移動通信用は20MHzを3社に割り当てる方法もあったが,その場合はガードバンド幅が増え,通信技術を絞る必要が出てくる。何のために4種類の通信技術の候補を検討したのかということになる。また20MHzよりも30MHzの方が自由度が高い。将来,20MHzシステムを導入する際も容易に移行できる。固定通信は20MHzシステムを導入できないことになるが,MVNO(仮想移動体通信事業者)で設備を借りる方法がある。

免許交付の審査条件に,MVNOに設備を貸し出すための計画の策定を盛り込んだ。

 MVNOに設備を貸し出さない事業者には免許を交付しないということだ。割り当てる帯域幅が30MHzと大きいので,周波数を有効に活用してもらいたい。免許を交付したのに全く利用が進まないといった状況では困る。一気に展開を進めるという点でも,MVNOへの設備の開放は重要と考えている(関連記事)。

出典:日経コミュニケーション
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。