エンタープライズ・サーチ製品はこの1~2年,ぐんと充実してきた。並行して,国内での導入事例も徐々に増えつつある。「社内のシステムを横断的に探し,欲しい情報を何でも即座に取り出せる」。グループウエアや社内Webサーバーなどの広がりとともに,検索機能へのニーズは着実に高まっている。

 個々のユーザーが勝手気ままにフォルダを作り,ファイルを保存してゴミためのようになってしまっているファイル・サーバー,膨大な数の文書が書き込まれているグループウエアや社内Webサーバー,玉石混交のイントラブログ/SNS──。いまや,企業内では数多くのサーバーが稼働し,大量の情報が分散している。その文書の合計数は,必要なデータを探し出すことが難しいと感じられるほどにまで膨れあがっている。

 こうした状況下で重要性を増しているのが「エンタープライズ・サーチ」である。いわば社内版の“Google”だ。キーワードをいくつか指定すれば,社内にある各種のサーバーを横断的に検索し,瞬く間に該当しそうなデータを探し出して一覧表示してくれる。データが氾らんしている昨今,エンタープライズ・サーチは企業情報システムの必須アイテムになりつつある。

この1~2年で製品がぐんと充実

 社内利用に向けたエンタープライズ・サーチ製品が登場し始めたのは2000年ころ。社内データの増加を背景に,2005年を境に製品がぐんと増加した。2006年には米オラクルが製品を投入するなど,選択肢が充実してきた(図1,末尾の表1)。

図1●エンタープライズ・サーチの動向
図1●エンタープライズ・サーチの動向
2005年ころから企業内検索の製品が増加,2006年には米オラクルが製品を投入するなどさらに充実した。

 導入ユーザーも徐々に増えている。例えばNTTコムウェアは2007年3月,オラクルの「Oracle Secure Enterprise Search」を導入。社内のファイル・サーバーやポータル・サイトに散在している多様な文書を横断的に検索するシステムを構築した(図2)。検索対象のファイルは約10万に上る。

図2●社内に散在している情報を横断的に検索するエンタープライズ・サーチ
図2●社内に散在している情報を横断的に検索するエンタープライズ・サーチ
多様な文書を検索し,ユーザーの職位や職責に応じて閲覧を制限する。NTTコムウェアが2007年3月に運用を開始したエンタープライズ・サーチのシステムを基に作成。

 第一の目的は,経営層に経営判断の材料となるデータを即座に探し出せる手段を提供することだった。山田哲夫エンタープライズ・ソリューション事業本部担当部長は,「システム構築側の論理でメニューを決めるポータルのようなツールだけでなく,情報を探す側の立場にたったシステムが欠かせなかった」と経緯を語る。実際に導入するにあたっては,営業部門や開発部門にも機能を開放。従業員が部門横断的に文書を検索できるようにした。効果はてきめん。「機密情報から提案書まで,欲しい情報をすぐに取り出せるようになった」(山田担当部長)。

 ただ,役員にしか見られないはずの情報が,検索によって一般社員にまで見えてしまっては困る。NTTコムウェアでは,「まず従業員向けの文書だけを検索対象として,アクセス権限と検索結果の整合性を3カ月検証した。その上で,経営層向けの文書を検索対象に取り込んだ」(山田担当部長)。

 この事例から分かるように,エンタープライズ・サーチでは利用者のアクセス権限に合わせて検索結果を変える仕組みが必要になる。検索対象のファイル数が多くなれば,応答性能にも気を配らなければならない。1回の検索に1分も2分もかかるようでは使い勝手が悪い。ユーザーの使い勝手を考えれば,検索の精度を高めるためのチューニングも欠かせない。

 この特集では,応答速度が速く,検索結果の上位に欲しい文書が表示される“社内版Google”を実現する構築ノウハウと,製品選択のポイントを,5回に分けて紹介していく。

表1●主なエンタープライズ・サーチ製品
表1●主なエンタープライズ・サーチ製品
製品名のバージョンは2007年3月現在。
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出典:日経コミュニケーション 2007年4月15日号 52ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。