非接触型ICカードを利用した教育機関向けの対話型授業支援システムを販売しているICブレインズは、現行システムに比べて導入コストを半分程度にできる新しいシステムを開発した。ICカードのリーダーに無線LANの通信機能を持たせたのがポイントである。

 ICブレインズが販売している現行の対話型授業支援システムは、産業能率大学が湘南キャンパス(神奈川県伊勢原市)の大教室の一つ(収容人数:約300人)に導入している(本誌2006年1月号p.6参照)。「FeliCa」対応のICカード学生証(13.56MHz帯の周波数に対応)を、教室の各席に設置したICカードリーダーの上に置くと、教壇に設置した教員用パソコンの画面で、学生の出欠確認を自動的に行うことができる。

 リーダーにはセレクトボタンが付いており、学生がこのボタンを押して教員の質問に答えるといった使い方もできる。ICブレインズはこのシステムを使って、大教室における一方通行の授業を、ゼミ形式の対話型に変えることを狙っている。

 ただし現行システムは、各席に設置したICカードリーダーと教壇に設置した教員用パソコンを、有線のケーブルで接続している。その配線工事に手間がかかるといった理由から、リーダーの設置コストは1席当たり約3万円かかっていた。300人規模の大教室に導入すると1000万円近い費用になるため、教育機関にとっては導入のネックになっていた。

無線LANは2.4GHz帯の周波数に対応

 そこでICブレインズは、ICカードリーダーに無線LANの通信機能を搭載し、無線LANの基地局(コントローラ)を教室内に設置するという新たなシステムを開発した(図1)。無線LANの基地局は、2.4GHz帯の周波数に対応した特定小電力無線タイプの製品である。

図1 無線LANで通信する対話型授業システムの構成
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 1台のコントローラで、約300台までのICカードリーダーと同時に通信できるようにしたため、各席のICカードリーダーと教壇の教員用パソコンを有線ケーブルで接続する必要がなくなる。その結果、ICカードリーダーの1席当たりの設置コストをおよそ半分にできると、ICブレインズはみている。

 こうした導入コストの安さを武器にして、ICブレインズは今回の新システムを、大学や専門学校などの教育機関のほか、各種セミナーや講習会などで使えるシステムとして企業にも売り込む計画である。産能大学も他の教室に導入するときには、この新システムを採用する可能性が大きい。



本記事は日経RFIDテクノロジ2006年8月号の記事を基に再編集したものです。コメントを掲載している方の所属や肩書きは掲載当時のものです