最近,マネジメント業務を任されるようになりました。でも,できればプログラマでやっていきたいんです。ソフト会社に転職すべきでしょうか?
(システム・インテグレータ勤務,SE/男性・32歳)

A: 出世に未練はないか。志の有無を自問せよ!

 もし,あなたが本当に一生プログラマでやっていきたいのであれば,専門職制度としてプログラマのキャリアパスを用意している会社を探し,転職することをお勧めします。

 米国ではずいぶん前から“おじさんプログラマ”がいます。私は日本IBMに勤務していたときにそうした人たちと何度か仕事をしましたが,皆自分の仕事に誇りを持ち,実務では素晴らしい成果を出していました。日本でも,10年前に日本IBMが専門職制度を導入して以来,専門職としてのプログラマやPMがようやく認められつつあります。

 ただ,その前に自分の意思をもう1度確認してください。

 日本では,「『成功』というのは管理職として出世することだ」とする保守的な考え方がまだ主流です。あなたはどうですか? 同僚や後輩が組織のなかで出世しても,あなたは悔しくないですか?

 悔しくなければ,それで結構。やはり悔しいのでしたら,まだ日本的な成功に未練があるということです。「どうせ自分は出世しないから」と感じるなら,「生涯プログラマ」という考え方は逃避かもしれません。

 あなた自身のなかに,このような未練や逃避があるとちょっとでも感じたら,少し様子を見ましょう。「やりたいから転職する」のと,「いやだから転職する」のでは,志が全く違うのです。

 もちろん,「やりたいことに出会うために転職する」というのも,1つの考え方です。実は私が日本IBMをやめた理由も,「コンサルタントになりたいから」というよりは,「コンサルタントなら独立できるかも」という程度でした。ただし,志はあったつもりです。あなたもまず,本当に志があるかどうかを確認するべきでしょう。

奥井 規晶(おくい のりあき)
1959年神奈川県出身。84年に早稲田大学理工学部大学院修士課程修了。日本IBMでSEとして活躍後,ボストン コンサルティング グループに入社。戦略系コンサルタントとして事業/情報戦略,システム再構築,SCMなどのプロジェクトを多数経験。その後,アーサー・D・リトル(ジャパン)のディレクターおよび関連会社のシー・クエンシャル代表取締役を経て,2001年にベリングポイント(元KPMGコンサルティング)代表取締役に就任。2004年4月に独立。現在,インターフュージョンコンサルティング代表取締役会長。経済同友会会員,日本キューバ・シガー教育協会専務理事。

出典:日経ITプロフェッショナル 2005年11月号 61ページ
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