■埼玉県草加市は10月1日、市のWebサイトを全面リニューアルした。ユーザビリティ、アクセシビリティを高めるのが狙いで、CMS(コンテンツ管理システム)を導入しデザインやコンテンツ管理・運用がしやすいようにした。リニューアルに際しては、新たに住民向けに地図案内サービスの提供を開始した。この地図案内サービスは、大手検索サイト「Google」が無償で提供している「Google Maps」を活用している。Google Maps採用の経緯、狙いについて、草加市市長室広報担当の馬場啓介氏に話を聞いた(今回のケーススタディは馬場氏へのインタビューをお届けする)。なお、草加市以外で地方自治体のサイトがGoogle Mapsを活用している例としては、東京都西東京市などが知られるが、今のところ事例は少ない。(黒田 隆明)


――なぜ、リニューアルに際して地図情報の提供を始めたのか。

サイトのリニューアルを機にサービスを開始した草加市の「地図案内」。
サイトのリニューアルを機にサービスを開始した草加市の「地図案内」。

草加市(市長室広報担当の馬場啓介氏) 草加市は、東京のベッドタウンということもあり、住民の転入・転出が多い。新しく来た人やこれから転入を考えている人に、市の施設の場所を知りたいというニーズは高い。従来のサイトには主要施設の略図しか案内していなかったが、今回はほとんどの施設に詳しい地図を付けて紹介できる。また、道路工事などで「通れない」といった苦情も多いので、事前にお知らせする周知手段の一つとして、前々からWebサイトで地図情報を提供したいと考えていた。

――現在、アクセス数(ページビュー)は、どのくらいあるのか

草加市 市のサイト全体で1日当たり約2万4000、地図案内だけで1000ページビュー程度となっている。市のサイトでもTOP10に入る“人気コンテンツ”だ。

――Google Mapsの採用は最初から検討していたのか。

草加市 最初からGoogle Mapsを考えていたわけではない。ゼンリン、昭文社など地図を提供している会社から見積もりを取ったところ、CMSに地図を取り込む場合、利用料が年間100~200万円くらいの費用が発生することが分かった。リニューアルに際して導入したCMSのコストが5年で約3000万円。地図案内は重要コンテンツではあるが、それに上乗せして年間100万円以上は出しにくい状況だった。また、利用条件に制約が多かった。

――制約というのは?

草加市 地図会社の価格設定は、情報を表示する施設の登録数に応じた従量制の料金だった。(数が一定していない)工事案内をコンテンツとして考えていたし、利用者からの要望が高まっても追加コストを支払わないと登録施設の追加ができない。こうした点が導入しにくさとしてあった。また、福祉施設や教育機関が使うといった形で横展開する場合も、地図の利用に別料金が発生する可能性もあるとのことで、どこまで展開・活用できるか事前に分かりにくかった。いずれにせよ、新しいことをやろうとしても、相手の地図会社の了解がないと動きにくいという印象を受けた。

 これに対して、Google Mapsは利用は無料で、登録件数も無制限だ。サービスを横展開するにしてもコストが増えるわけではないし、事前にGoogleの承諾もいらない。そのほか、草加市限定でなく他地域の地図も表示できるので、住民がより便利に地図を利用できる。

――GISの導入は考えなかったのか。

草加市 他の自治体で使っているGISを見てみるとレスポンスが遅いものが多かった。また、GISだと別サイトを起動しなくてはならないが、住民の利便性を考えるとそれも避けたかった。同じWebページの中で見ることができるほうが閲覧者にとっては見やすいと考えた。

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