開発期間が5年以上にも及び,1000個以上の新機能を備えるWindows Vistaは,Microsoftのプラットフォーム&サービス担当の共同社長であるJim Alchin氏によると,歴史的なOSである。ここでは,読者の皆様がVistaの登場に対して,準備ができているかどうかを確かめてみることにする。たとえ急いでVistaにアップグレードする意思のない方でも,所属する組織が新たにハードウエアを購入して,Vistaが組織内に浸透し始めたら,このOSを理解する必要に迫られるのは間違いないだろう。Vistaが向こう数年間のうちにIT分野を制圧しようと待機している今こそ,このOSの本質と新機能につい徹底考察する最適のときである。

どのエディションを選ぶべきか

 Windows XPのエディションの多さに混乱した経験はないだろうか。混乱したという方は,Vistaではさらに混乱することだろう。Microsoftは5種類の基本エディションのVistaを用意するからだ。そのうち3種類は企業向けの管理機能を提供し,残りの2種類は家庭での使用を想定している。以下に下位エディションから順に5つを紹介する。

(1)Home Basic
 Windows Vista Home Basicは,Vista製品ラインの最下位に位置する製品で,Windows XP Home Editionに相当する。Vista Home Basicは,後で説明する新しいAeroユーザー・インターフェースを備えていない。

(2)Home Premium
 Windows Vista Home PremiumはWindows XP Media Center Editionを継承しており,テレビの鑑賞や録画,DVDの作成や編集,DVDメディアへの書き込みを含む前OSのすべての機能を備えている。このバージョンには,Tablet PCサポートに加えて,新しいAeroユーザー・インターフェースも含まれている。

(3)Business
 Windows XP Professionalに相当するWindows Vista Businessは,Active Directory(AD)ドメインに参加でき,グループ・ポリシーを使った管理機能に対応している。このエディションにもAeroユーザー・インターフェースが含まれている。

(4)Enterprise
 Windows Vista Businessの上位版であるWindows Vista Enterpriseには,Vista Businessの全機能に加えて,Bit-Locker(新しいドライブ暗号化技術)やVirtual PC Express(旧OS向けアプリケーションを実行するためのシングル・セッションのVirtual PC)などの企業向け新機能が含まれている。Vista Enterpriseは,Software Assuranceを購入,あるいはEnterprise Agreement契約を結んだ顧客だけが利用できる。

(5)Ultimate
 その名が示す通りWindows Vista Ultimateには,企業向けやモバイル,娯楽機能を含むほかのすべてのVistaエディションの全機能が含まれている。

 なおヨーロッパでは,メディア・プレーヤが含まれないHome Basic NエディションとBusiness Nエディションを購入できる。

Vistaの動作に必要なシステム要件

 MicrosoftはWindows Vistaのハードウエア要件に関して明言するのを避けてきたため,VistaはWindows XPよりもはるかに高いレベルのシステムが要求されるのではないかという憶測が広まった。だがVistaのCustomer Technology Preview(CTP)版が出回ると,こうした憶測は誤りであることが分かった。Microsoftによると,最低要件は最近のCPU(例えば,800MHz動作以上)と512Mバイトのメモリー,そしてDirectX 9に対応したGPU(グラフィックス・カード)だ。

 Vistaのユーザー・インターフェースの要件は,実行されるハードウエアによって変わる。Aeroを利用する場合は,DirectX 9とWindows Display Driver Model (WDDM),最低32ビット/ピクセルのグラフィックス機能,そしてディスプレイの解像度に対して十分な容量のビデオ・メモリー(VRAM)を持つアダプタを必要とする。

 例えば,1280×1024ドットの解像度では最低64MバイトのVRAMを必要とする。1920×1200ドットの場合だと,最低128MバイトのVRAMが必要だ。システムがこうした水準に達していない場合,VistaはAeroの代わりに,基本ユーザー・インターフェースを提供する。まとめると,Vistaは最近のほとんどのシステムで問題なく動作するが,メイン・メモリーが512Mバイト以下の少し古いシステムだと,恐らくWindows XPのときよりも動作が遅くなるだろう。

新しいユーザー・インターフェース「Aero」

図1●Windows Vistaのスタート・メニュー
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 Vistaのユーザー・インターフェースは,Windows XPよりも大きくてグラフィカルなアイコンを採用している。私がテストした限りでは,スクリーンの表示面積が増えたことは,間違いなくデスクトップにいい影響を及ぼしている。Vistaのデスクトップはすかすかで,表示されているのはゴミ箱だけだ。スタート・メニューのデザインも刷新されている。丸みを帯びたWindowsのアイコンが,「スタート」という文字に取って代わっているのだ。Vistaの新しいスタート・メニューでは,従来の階層型のメニューはもはや使われていない。階層型のメニューとは,「スタート」ボタンをクリックした後,項目の右側にある矢印を追っていく方式のことだ。新方式では,新しい項目はスタート・メニュー内で表示されるようになる(図1)。

 Vistaの新しいユーザー・インターフェースには多くの変更点が含まれている。これらの変更点の多くは,AppleのMac OS X,あるいは様々なバージョンのLinuxを想起させるものだ。今回のユーザー・インターフェースはWindows XPから大きく様変わりしている。変更して成功している部分もあれば,失敗している部分もある。うれしいのは,新しいAeroユーザー・インターフェースの丸みを帯びたウインドウと透明のポップアップが,だれが見てもかっこいいものに仕上がっていることだ。

 逆に残念なのは,これまで頻繁に使って慣れ親しんできたツールの多くが,見つけにくい場所に隠されたことである。例えば,デスクトップで右クリックをしても,ディスプレイのプロパティを設定できなくなった。これからはディスプレイの設定を変更するには,コントロール・パネルの新しい「個人設定」アプレットを使わなければならない。

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