「YouTube」に関する記事をこのコラムで初めて取り上げたのは今年の5月(記事)。それからまだ数カ月だが,YouTubeの人気は目覚ましい勢いで高まっている。Nielsen//NetRatingsの調査によれば,今年3月時点で776万人だった米国の月間ユニーク・ユーザー数は,6月に1960万人にまで増えた。今年1月の490万人から比べるとほぼ4倍。この伸び率は上位25のWebサイトで最も高いという(米Nielsen//NetRatingsの調査資料=PDFファイル)。

 YouTube社が公表した資料によれば,6月時点の1日当たりの映像再生回数は7000万回。ここ最近の数値について同社は公表していないが,今年3月時点で4000万回だったことを考えると,すでに1億回を超えているのではないかといわれている。

 ユーザー数の増加を追い風にして,同社は新しい取り組みを次々と発表している。大手コンテンツ・ホルダーとの提携や新しい事業モデルの開発などである。そこで本稿では,5月以降の同社による取り組みなどをまとめた。

提携や新プログラムを矢継ぎ早に発表

 前回のレポートのあと,YouTube社は大手数社と立て続けに契約を結んでいる。米三大テレビ・ネットワークのNBCやFox Broadcasting,大手レコード・レーベルの米Warner Bros. Records,米Warner Music Groupなどである。

 NBCとの提携は6月に発表された。テレビ番組のプロモーション活動の場をNBCに提供し,同時にNBCの放送でYouTubeを宣伝するというクロス・プロモーション広告の契約である。期限は2007年いっぱいとのことで,それまでのあいだ,YouTube社はサイト内に「NBC Channel」ページを設け,NBCの番組のプレビュ映像を配信したり,サイト内でNBCのビデオ・コンテンツを宣伝したりする(関連記事)。

 8月には,この手法をさらに発展させる形で,広告プログラム「Brand Channels」と「Participatory Video Ads(PVA)」を立ち上げた。前者はYouTube内に広告主のチャネル・ページを設け,そこで,映像をはじめとする広告主のコンテンツをユーザーに向けて提供するというもの。プロモーション活動などの一環として利用してもらうのが狙いだ。広告主がデザインを自由にカスタマイズできるようにするとともに,YouTubeのコミュニティ機能やユーザーへの新着告知機能なども利用可能にする。

 後者の「Participatory Video Ads(PVA)」は,ユーザー参加型映像広告のこと。広告でありながら,ユーザー同士でコンテンツを共有できるようにした。YouTubeのほかの映像コンテンツ同様,ユーザーが格付けしたり,コメントを付けたりできる。URLとHTMLタグも通常のコンテンツと同じように用意し,ユーザーが自分のWebサイトにコンテンツを容易に掲載できるようにする。

 これらのプログラムの第一弾となったのが,Hiltonホテル・チェーン創業者の一族でタレントであるParis Hiltonさんのコンテンツである。

 前者のBrand Channelsは,その第一弾が「Paris Hilton Channel」となった。Paris HiltonさんのデビューCD発売にあわせて開設した。レコード・レーベルであるWarner Bros. Recordsが同チャネル・ページを提供し,後者のPVAでは,Fox Broadcastingが広告スポンサとなった。

 これらについてYouTube社は,同社が今後継続して提供していく「新しい広告コンセプト」と説明している。つまり,NBCとの契約のように単発的な“特別企画”ではなく,同社の新たな事業モデルにするという。バナー広告などのこれまでの広告モデルを補完する,同社の新たな収益源にすることを目指しているのだ。

「コンテンツ識別ツール」で使用料を徴収

 9月には,米Warner Music Groupとの提携を発表した(関連記事)。これは,Warner Musicが所有する音楽/映像コンテンツに加え,アーティストの舞台裏やインタビューなどを撮影した特別企画のコンテンツをYouTubeで提供していくというもの。加えて,ユーザーのビデオ・コンテンツにWarner Musicの音楽を使用できるようにもする。これらのコンテンツには広告を入れ,その広告収入をYouTube社とWarner Musicで分け合う。

 これを実現するため,YouTube社はコンテンツを識別するツールと,使用料を集計するためのシステム(ロイヤルティ・レポーティング・システム:royalty reporting system)を開発中で,年内にもリリースする予定という。同社ではこれを「革新的なフレームワーク」と呼び,Warner Music以外のレコード・レーベルや,テレビ局,映画スタジオといったコンテンツ・ホルダーに提供していくとしている。

 その具体的な内容についてYouTube社はまだ明らかにしていないが,同社の発表資料からある程度推測できる。まず,コンテンツ識別ツールとは,ユーザーの投稿した映像コンテンツ内に使われている音楽を自動で調べ上げ,著作権のある音楽が使われているかどうかを検出できるツールのようである。

 そうしたコンテンツに対し,楽曲の使用を許可したり,課金対象にするといった機能も提供する。ロイヤルティ・レポーティング・システムでは,そうしたコンテンツに課す使用料を集計/追跡記録する機能を提供するとのことである(発表資料)。

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