Webブラウザにhttp://www.nikkeibp.jp/などと打ち込んでWebアクセスする――。こうしたことができるのは,インターネットにDNS*1というしくみがあるからだ。ドメイン名を使って目的のWebサーバーにアクセスしたり,メールを相手に送るときには,必ずDNSが活躍している。

 DNSは,ドメイン名に対応するIPアドレスを管理するための技術として生まれた。仕様ができたのは,1987年11月(図1-1)。今から17年も前である。それから現在まで,インターネットを下支えする技術として存在し続けている。

図1-1●DNSにまつわるこれまでのできごと
図1-1●DNSにまつわるこれまでのできご
仕様自体は15年以上前にできたが,最近5年間ほどでさまざまな新サービスが登場している。
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DNSにまつわる新技術が次々登場

 ドメイン名とIPアドレスの関係を管理するという最大の役割は昔も今も変わらない。しかし,近年DNSにまつわる新しい技術やサービスが続々と登場している。

 いくつか紹介しよう。例えば,日本語ドメイン名。IPアドレスなどを調べるキーになるドメイン名は,「nikkeibp.jp」のような半角英数字しか使えなかった。しかし,今では「日経BP.jp」のようにドメイン名に日本語が使える。ユーザーの使い勝手を変えることなく,従来の半角英数字を使ったドメイン名と同じように日本語ドメイン名を利用できるようにしたことがポイントである。

 「ダイナミックDNS」と呼ばれるサービスも一般的になった。従来,DNSサーバーは基本的に自前で運用する必要があった。ところがダイナミックDNSサービスの登場により,一般ユーザーでも,プロバイダにDNSサーバーの運用を任せてユーザーの好きなドメイン名を利用できるようになった。

 さらに,近い将来に活躍しそうなDNSの新技術も芽生えている。

 その一つが,ENUM(イーナム)*2と呼ばれる技術である。ENUMは,DNSのしくみを使って電話番号からメール・アドレスやIP電話のアドレスといったさまざまなアドレス情報を検索するしくみ。IP電話が普及するにつれて注目が集まっている。

 また,最近問題になっている迷惑メール対策*3にもDNSが利用され始めている。メールの送信者が自分のアドレスを偽っていないかを調べる手段としてDNSを活用する新手法だ。

 このように,従来のDNSのワクを飛び出していろいろな場面でDNSが活用されようとしている。これまで以上に,DNSの役割が大きくなろうとしているのだ。

基本を押さえれば最新技術もわかる

 そこで,この特集では最新のDNSに関する技術を取り上げ,それらをまるごと理解できるようにした。もちろん,それぞれの技術は異なるが,DNSの根本的なしくみは同じだ。つまり,DNSの基本に立ち返って新サービスを検証していく。

 次のPart2では,DNSの根本のしくみを確認する。ここが理解できれば,この先に出てくる最新技術の解説も読みこなせる。

 Part3では,すでに利用が始まっている新しいサービスを検証する。取り上げるのは,日本語ドメイン名とダイナミックDNSである。

 Part4では,近々私たちの前に姿を現すであろう最先端のDNS技術を検証する。ENUM,メールの送信者認証,IPv6対応の三つの技術を取り上げる。ここまで押さえていれば,DNSの進化の波に乗り遅れることはない。

出典:日経NETWORK 2004年12月号 60ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。