前回のレビュー(第1回:5つの素晴らしい機能)で,筆者はWindows Vistaの優れた点を5つ指摘した。Windows Vistaの優れた点を挙げろと言われれば,さらに5つでも10でも20でも挙げられるが,その前に,数あるWindows Vistaの問題についても議論したい。正直なところ,このリストは長くなりそうだ。だからと言って,Windows Vistaが無駄な製品だとか,非難の的だというわけではない。「批判するほどすばらしい」とでも思って頂きたい。少なくとも,批判するに値する製品であることは間違いない。

 当たり前のことではあるが,Windows Vistaは完璧ではない。完璧には程遠い製品と言えるかもしれない。Windows XPよりはもちろん優れているが,それはWindows XPから5年も経過し,経験や実績を反映しているのだから当然だ。「多少良くなった」というのは最低限の要件にしかならない。Windows Vistaが貴重なお金を支払うのに値するかどうかの考察は,製品版のレビューに譲るとするが,ここではその一部を予告編として紹介する。現時点の「製品候補版1(Release Candidate 1,RC1)」として公開されたWindows Vistaについて,筆者が満足できない点である。

お粗末なユーザー・インターフェース(UI)

 筆者はWindows Vistaがまだベータ版だったころから,「Media Center」機能のユーザー・インターフェース(UI)に不満であり,責任者の解任を求めたほどだ(関連記事:現時点で判明した「Windows Vistaの欠点」を暴く)。ただし,最近の製品候補版では,Media CenterのUIは大きく改善された。少なくともMicrosoftは聞く耳を持っているようだ。

 よって今回は,Windows Vistaの出荷までには変更されないであろうUIについて,検証したい。残念なことに,そのUIは筆者が今まで見たUIの中で,最もひどいものの1つだった。具体的に説明しよう。まず旧バージョンのWindowsでは,ウィザード画面には常識的な[次へ](図中ではNext)と[戻る](図中ではBack)というボタンがあり,それらのボタンを使えば,簡単に前の手順に戻ることが可能だった。図1は典型的なサンプルである。

図1●Windows XPにおけるウィザード画面

 それでは,Windows Vistaのウィザード画面がどうなったか見てみよう。常識的には[次へ]と[戻る]があるべきだ。しかし,図2でお分かりの通り,[戻る]ボタンが見当たらないのだ。[戻る]ボタンの機能に相当するのは,画面の隅にある変な青色のボタンである。これだけでは探せないだろう。左上にある青いボタンだ。

図2●Windows Vistaのウィザード画面
[次へ]はあるが[戻る]がない

 Windows Vistaではなぜ[戻る]ボタンにブラウザのような画像を採用し,[次へ]ボタンには従来のテキスト・ベースのボタンを採用したのだろうか。また,一応[戻る]ボタンは画面の左側に,[次に]が画面右側にあるようだが,なぜ[戻る]が画面上部に,[次に]が画面下部に配置されているのだろう。

 きっとMicrosoftのアーキテクトが,「Windows Vistaのアプリケーションには,Webブラウザのナビゲーション・スキームを採用する」と決定して,UI設計者が喜んでそれに従ったのだろう。しかし,流行に流されて一貫性のないUIを採用したのには納得がいかない。[戻る]ボタンが画面上部に画像として配置され,[次へ]と[キャンセル]がテキスト形式で画面下部に配置されたのは,Microsoftの責任である。

機能が後退したWindowsエクスプローラ

 Windowsエクスプローラでは,ディレクトリを移動する[上へ]のボタンが無くなってしまった。アドレス・バーの横にある新しいボタンを押せば,任意のディレクトリに移動できるのは分かったが,単に1つ上のレベルに上がりたいだけの場合もあるだろう。なぜ[上へ]ボタンを無くしたのだろうか。

 Windowsエクスプローラについては,もう1つ不満がある。新しいフォルダを開いた時に,どうしてそのフォルダの最初の項目が選択されないのだろうか。フォルダをダブル・クリックして開いたり,エクスプローラの「お気に入りリスト」からフォルダを選んでも,次の時点でどの項目が選択されているのか,全く分からない。振る舞いは,しょっちゅう変わり,しかもその原因がよく分からない。

 Windowsエクスプローラは,Windows XPよりも知的ではなくなる。Windows XPでは,[マイドキュメント]を開くと[共有ドキュメント]などの関連する場所へのリンクが表示されていた。Windows Vistaには,そのような優れた機能はない。どのフォルダを開いても,「お気に入りリスト」が表示されるだけだ。しかも,リストの中身の順番が異なることがある。これは強烈だ。

 Windows Vistaのエクスプローラと,OS付属のアプリケーションとで,UIに一貫性がないのも問題だ。メニューがある画面があれば,メニューがない画面もある。そのほか,隠しメニューがあったりなかったり,新しいブロック・ツールバーがあったりなかったりもする。これらの相違は果てしない。どうして一貫性の問題に取り組む人が,開発チームにいなかったのだろうか。

この先は会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)は12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら