システム設計のためのコミュニケーションであっても,感情的な部分を軽視していいわけはない。柔軟性を欠く態度や,やたらと偉ぶる態度は,設計者とユーザーのパートナー関係に水をさす原因になる。その結果,ユーザー側が「設計者を代えてくれ!」と言い出すような感情的な問題に発展しかねない。現場でよく起こる例を基に,設計者としての心得を考えてみたい。

松田 陽人(まつだ・はると)
システム・エンジニア

 これまで6回にわたり,トラブルを起こした実例を通して基本設計書や仕様書を作成する際の心得を紹介してきた。その中で筆者が考えるポイントの多くは,設計を行う技術者のコミュニケーション・スキルに焦点を当ててきた。

 それには理由がある。豊富な技術知識を持ち,そつのない設計書を書ける技術者であっても,ユーザーやプログラマとのコミュニケーションが悪ければ,どこかに歪みが発生するものだからだ。事の大小はあってもトラブルに発展する可能性があり,それはシステム設計の現場で広く見受けられる状況なのである。

 そこで最終回は,コミュニケーションのまずさが原因で「感情的なもつれ」を生んだ二つのトラブル例について考えてみたい。これらの問題はユーザーと設計者の意思疎通に重大な障害となり,「あの設計者を別の人に代えてくれ」とか「あのユーザーとは2度と一緒に仕事をしたくない」といった結果に陥ってしまった。本来なら対等なパートナー関係であるべきユーザーと設計者が,かたくなに拒否の姿勢を貫いたり,相手を見下すような態度だった点に注目してもらいたい(図1)。

図1●ユーザーと設計者のパートナー関係に水をさす要因
図1●ユーザーと設計者のパートナー関係に水をさす要因
ユーザーと設計者の間に「上下関係」を作ったり,コミュニケーションに柔軟性を欠いたりすると,プロジェクトの成功はおぼつかない

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