本田 恵一 アイ・ピー・ビジョン
代表取締役
本田 恵一

IP電話は,既存の電話との接続や音声品質という“制約”があり,可能性を抑えられているのが実情である。エンド・ツー・エンドを,SIP,さらにはIPネットワークで接続すれば,新たなサービスの可能性がある。いわゆるインターネット電話が持つ可能性である。海外では,これを実現する動きが盛んである。

 とかく日本は電話に対して高いクオリティを求める国である。それにより,日本のVoIPはキャリア主導の硬直したIPネットワーク上に“IP電話”という名前で展開してきた。もっと自由で柔軟なインターネットを使った電話は“インターネット電話”と呼ばれ,「音声品質がよくない」「切れる」「一部のユーザーだけのもの」などと,マイナス・イメージが先行している。ただ,これには少なからず誤解がある。

 音声品質はインターネットを通過するので保証はできないが,たいていは問題ないレベルである。それに,世界には使いやすくて面白いソフトやサービスがいくつもあり,誰でも使える段階に来ているといえる。そして,通話料は無料。

 しかし,それ以上にインターネット電話で注目すべき点は,SIP(Session Initiation Protocol)という標準プロトコルを使って,インターネットを介して端末間を結ぶことができるというところである。そこにはキャリアによる制約などはない。世界標準のSIPを使うならば,キャリアも端末も場所もすべて自由である。そして,プロトコルがキャリアの制約を受けずにインターネット上で完結するということは,さまざまなサービスが自由な発想で有機的に結び付くことを可能にする。インターネット電話はそのような可能性を秘めているわけである。

日本国内のVoIPの現状

 まず,日本におけるVoIPの現状を考えてみたい。

 日本では3~4年前からVoIP関連の製品やサービスが続々登場し,一気に世界最大のVoIP利用者を抱える国となった。その大半の人が利用しているのが,ISPが提供している050番号に代表されるIP電話サービスである。

 このIP電話サービスは,ISPのインターネット接続サービスのオプション(無料~数百円程度)として付いていることが多く,そのプロバイダのインターネット接続サービスを利用すればIP電話も使用できるというものである。

 専用モデムに現在使用している家庭電話機を接続するだけでよいので,一見すると非常に便利である。しかも,同じISPユーザー間であれば通話料は無料。相互接続,あるいは提携しているISP同士では無料というサービスもある。「Yahoo!BB」を筆頭に通話料の安さをセールス・ポイントにして利用者を獲得してきた(図1)。

図1●IP電話の利用番号数の推移

 しかし,よく考えるとおかしな話である。なぜ,同じISPのユーザー間だけ無料通話なのか?なぜ,ほかのIP電話を使っている人とは無料ではないのか?

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