KNOPPIXで起動しないPCを救う

 KNOPPIXが利用できるようになったところで,PCが起動しないなどの問題発生時に,どのようにKNOPPIXが役立つかを紹介します。

 PCが起動しなくなる理由はさまざまですが,ハード・ディスクの中身が読める状態であれば,KNOPPIXを使ってファイルを読み出し,他のPCに転送できます。つまり,貴重なデータを救い出せます。

 KNOPPIXに含まれているファイル共有ソフトSambaを利用すれば,実に簡単にファイルを読み出せます。以下で具体的な操作手順を紹介しましょう。まず,お手元のPCが起動しなくなったとします。このPCのOSは,Windowsと,Linuxのどちらでも構いません。


写真5 Sambaクライアントを起動したところ
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 KNOPPIXをこのPC上で起動し,画面左下からペンギンのマークで示されたKNOPPIXメニューを開き,[Utilities]-[Samba Network Neighborhood]を選択してください。ファイル・ブラウザとしてKonquerorの画面が開き,ネットワーク上のWindows共有が可能なPCが一覧表示されます(写真5)。アクセス制限が設定されている共有フォルダであっても,「ユーザ名」と「パスワード」を入力することでアクセスできます。これでファイルの送り先は確保できました。

 次はKNOPPIXで起動したPC側の設定です。読み出したいハード・ディスクを操作しましょう。デスクトップ上に現れたハード・ディスク・アイコンをシングル・クリックすると,ハード・ディスクを読み出し専用で自動的にマウントした後,フォルダが開きます。後は必要なファイルをマウスでドラッグするなどして,Windows共有PCにコピーするだけです。

 さらにKNOPPIX上でSambaサーバーを起動し,Windows PC側からKNOPPIXが動作しているPC内のファイルを操作することもできます(別掲記事「KNOPPIXで共有サーバー化する」を参照)。

GNU GRUBを修復する

 LinuxとWindowsをデュアル・ブート構成にして使うことは珍しくありません。ここで陥りやすいのが,Linuxインストール後にWindowsを入れて,MBR(マスター・ブート・レコード)を上書きしてしまうことです。MBRにはLinuxで用いるブート・ローダーGNU GRUBの情報が記述されているため,上書きするとLinuxが起動しなくなります。

 まずは,後ほど紹介するQtPartedを起動して,「/」(ルート)ディレクトリが存在するルート・パーティションを見つけてください。ルート・パーティションが/dev/hda1の場合は,次のようにマウントします。

 次に,GRUBを再びインストールします。

 これで,Linuxが起動するようになります。Windowsも起動できます。

MBRを修復する

 MBRが破壊されるとさらに悲惨なことになります。MBRにはパーティション情報が記録されているため,パーティション構成すら分からなくなってしまいます。

 大まかに説明すると,MBRの前半には起動プログラムが,後半にはパーティション情報(パーティション・テーブル)が記述されています。MBRの後半までも破壊された場合には,パーティション情報が分からなくなってしまいます。

 実際に破壊された後にMBRを復元するのは困難ですから,きちんと動作しているうちにddコマンド*を使ってMBRを保存しておきましょう。

 /home/knoppixにできたmbr_bakは,フロッピ・ディスクなどに退避しておきます。

 MBRを復元するには,mbr_bakを使います。パーティション・テーブルが壊れていない場合(MBRの前半しか壊れていない場合)は,次のようにします。

 パーティション・テーブルはMBRの後半に記録されているため,MBR全体が破壊されてしまった場合は,コマンドの指定を次のように変更してください。

メモリーの異常を感じたら

 PCの動作が不安定になる原因はさまざまですが,例えばメモリーを増設した直後に不安定になったのなら,追加したメモリーに異常があるのではと想像できます。

 メモリーが全く動かないのであれば交換するしかありませんが,動いたり動かなかったりする場合もあります。例えば,メモリーの後半(上位アドレス)に問題があり,そこにアクセスしない限りは正常に動作しているケースなどが考えられます。


写真6 メモリー・テスト・ソフトMemtest86の起動画面
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 Windowsには,メモリーを診断するソフトは付属していません。そこでKNOPPIXの出番です。問題のPC上でKNOPPIXを起動し,黒い画面に「boot:」プロンプトが現れたら,「」でなく,「memtest」と入力してください。KNOPPIXにはLinux OS本体以外に,Memtest86(http://www.memtest86.com/)と呼ばれるソフトウエアが含まれています(写真6)。

 Memtest86は,メモリーをテストするソフトです。さまざまなパターンをメモリーに書き込み,正しく読み書きできるかを調べます。テストが自動的に始まると,画面中央右の「Pass」という数字が増えていきます。これが「1」であれば,全テストを1回終えたという意味です。メモリーの動作に不安がある場合は,3回程度繰り返してテストするとよいでしょう。診断結果は,画面下の時刻で始まる行の「Errors」とある列に表示されます。ここが「0」であれば問題ありません。

 なお,Memtest86は無限ループになっているので,適当なところで「Esc」キーを押して終了してください。Memtest86自体の動作を設定するには「C」キーを押します。

KNOPPIXで共有サーバー化する

 Sambaを使うと,KNOPPIXが動作しているマシン自体を共有することもできます。起動しないPCからファイルを取り出す際にも使えますが,Linux PCのファイルをWindows PCから一時的に読み出す際にも役立ちます。



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 KNOPPIXメニューから[Services]-[Start Samba Server]を選んでください。「Xdialog」というダイアログが表示されました(写真A-1)。ここではKNOPPIXで起動したPCのディスクを共有するためのパスワードを入力します。2度とも同じパスワードを入れてください。すると,写真A-2のダイアログが表示されました。これは,「すべてのハード・ディスクを共有し,読み書き可能にするかどうか」という内容です。今回は一時的な作業に使うためですから,「Yes」を選んでください。

 他のWindows PCから「マイ ネットワーク」を開き,KNOPPIX PCを探してください。「アドレス」欄に「\\knoppix」と入力する方が早いでしょう。先ほど設定したパスワードを入力すればKNOPPIX PCのファイルに自由にアクセスできます。

出典:日経Linux 2006年1月号 72ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。