長年に渡って子供用コンピュータの研究開発を続けてきたアラン・ケイ氏が、大人の社会に対して強烈に批判を浴びせる。「過去を振り返ったり未来を見通すことなく、今を刹那的に体験するのに精一杯」と評する。そして、この状況が続くことによって、モノを考えられない愚か者が増殖することを同氏は危惧している。アラン・ケイ氏に対するインタビュー連載の最終回をお届けする。

(聞き手=ITpro発行人 浅見直樹,写真=栗原克己)

娯楽はコンピュータの一側面でしかない

Alan Kay

いつから、子供を対象にした教育用コンピュータに興味をもつようになったのでしょうか。

  私個人は、1960年代から教育用コンピュータに関心をもっている。Xerox社のパロアルト研究所(PARC)では常に、子供が利用するコンピュータとは何かを考えていた。読むことを学ぶのは、大人ではなく子供、だから子供に向けたコンピュータが大事だと思っている。今の大人たちは、モノを考える能力が欠如している。その大人に、モノの考え方を教えるよりは、子供たちから始める方が得策だと考えるからだ。

 大人は、例えばコンピュータを自動的な経理処理の道具として利用する。それはコンピュータの一側面に過ぎないにも関わらず、自分が経験したことを自動化するだけの道具だと思い込んでいる。自分の発想を豊かにする創造的な道具であることを忘れている。

 では、子供をめぐる環境はどうか。子供に向けたコンピュータは家庭用ゲーム機があるくらいだ。コンピュータが発明されたのは当に昔のことにも関わらず、子供を対象にした真のコンピュータがないのは嘆かわしい問題といえる。それを解決したいからこそ、100ドル・パソコンのプロジェクトをスタートさせた。まだ最初の一歩だが、このアイデアを追いかけようとする人も見受けられる。やがて大きなうねりとなる。

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