図1 LANカードを2重化する方法<BR>1枚のLANカードが故障した場合でも通信が継続できる「フォールト・トレランス」,通信の帯域を広げる「リンク・アグリゲーション」,通信負荷に合わせて分散する「ロード・バランシング」の3種類の使い方がある。
図1 LANカードを2重化する方法<BR>1枚のLANカードが故障した場合でも通信が継続できる「フォールト・トレランス」,通信の帯域を広げる「リンク・アグリゲーション」,通信負荷に合わせて分散する「ロード・バランシング」の3種類の使い方がある。
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 高可用性のソリューションでは,サーバーのLANカードを2重化する「チーミング」が一般的になっています。ネットワーク機器を2重化するのに合わせて,サーバーのLANカードも2重化するものです。これにより,ネットワークの耐障害性の強化や負荷分散が可能になります。LANカードを利用するOSからは,あたかも1枚のLANカードとして扱えます。

 LANカードの2重化は,通常はOSの機能で実現するものではありません。LANカードとそのハードウエア製造元が提供するドライバ・ソフトを組み合わせて実現します。このため,LANカードを2重化したい場合は,LANカード購入時に仕様を確認しておく必要があります。

1枚が故障しても通信を継続

 LANカードを2重化する大きなメリットを, 3点ほど紹介します(図1[拡大表示])。

 1点目は「フォールト・トレランス」と呼ぶもので,LANカードを冗長化することで通信環境の耐障害性を向上させます。具体的には,2枚のLANカードを束ねて,それぞれをプライマリとセカンダリにしながら1枚のカードのように運用します。

 平常時はプライマリのLANカードを使って通信します。このプライマリのLANカード,あるいは接続しているケーブルやポートに故障が発生した場合は,もう1枚のセカンダリのLANカードに通信を引き継がせます(図1a)。

 このフォールト・トレランスを実現する際には,通常は2枚のLANカードを1台のLANスイッチまたはルーターに接続します。その際に,製品の組み合わせによっては動かないことがあります。利用する際には,ベンダーに事前に確認することが大切です。

通信能力の拡大を実現

 LANカードの2重化は,耐故障性だけではなく,転送能力の向上にも活用することができます。これには,帯域幅を倍増させる「リンク・アグリゲーション」と,複数の送信パケットを通信先に応じて分散させる「ロード・バランシング」の二つがあります。

 このうち,リンク・アグリゲーションは複数のLANカードでの接続を合わせたような広い帯域幅を持つ仮想LANカードを実現するものです。例えば,2枚のLANカードを使って2重化した場合は,あたかも約2倍の処理能力を持っているような仮想LANカードを実現できます(図1b)。

 リンク・アグリゲーション機能を利用するには,LANカードをつなぐ先のLANスイッチも,リンク・アグリゲーションに対応している必要があります。また,LANカードによっては,一つの通信セッションを複数のLANカードに振り分けられないものがあります。この場合は,サーバー間接続のような「1対1」の通信は帯域を拡張できず,クライアントとサーバー間の接続のように「1対n」の場合にしか効果が出ません。

通信セッションごとに分散

 「ロード・バランシング」は,通信セッションごとに,複数のLANカードに送信データを振り分けるものです。それぞれの通信は,LANカード1枚だけで処理されます(図1c)。ただし,複数の通信を同時に処理するときは,複数のLANカードに分散されますので,全体のスループットが向上します。

 ロード・バランシングでは,ドライバ・ソフトに組み込まれた機能を使ってサーバーのトラフィックを分析し,あて先のアドレスごとに振り分けます。

 このロード・バランシングは,一つの通信セッションを1枚のLANカードで処理するため,1対n接続での通信時に効果が発揮されます。

 LANカードの2重化におけるスループットの向上は,特定のアドレスを対象とするよりも,複数のアドレスへ多量に送信した方が一般的に効果が大きくなります。これは,「3重化」「4重化」とLANカードを増やしていっても共通する傾向です。

 いずれの形で利用するにしても,LANカードやLANスイッチを購入の際には各ベンダーの推奨構成などを確認するのがよいでしょう。


●筆者:福士 祐樹(ふくし ゆうき)
ソリトンシステムズ パートナー営業本部
テクニカル・マーケティング兼コンサルタント

出典:日経NETWORK2005年9月号 110ページより
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。